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page d-114    ブリュッセルでの出逢い 朝

新しいアルバムのジャケットイメージの
設定は「ベルギーのジャム屋」。
ジャム屋の娘が、ジャムで絵を描く、という設定。

パリほど色鮮やかではなく
退廃的で重厚なイメージ。
映画でいうと「オリバーツイスト」、
あの色彩感たまらない、でもあれは英国ね。
やはりショコラティエとかビール工場とか、
工房感があるのでベルギー(イメージ)。






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はて、わたしのイメージはあっているのか。
パリから日帰りで
ベルギーブリュッセルに行った。
事前にwebでタリス(鉄道会社)のチケットを予約しておいて、
あとは使ったクレジットカードとパスワードを使って機械で発券するシステム。
(スペインやイタリアはプリントアウトでよかったのだが!)



朝6時半、発車30分前にパリ北駅到着。
パスワードとカード握りしめて、発券機からチケットを出そうするが、
どうもカードを読んでくれない。





ちょっと焦ってきて、
通りすがりの女性(名前はアスマ)に訪ねたら
カードにICチップがついていないと機械は読めないとのこと!!
「人のいる窓口で発券してもらえるわよ」
と言われて窓口に並ぶが、ひとつの窓口しか機能しておらず、
しかも15人ほど並んでおり、もちろん超のんびりなフレンチ窓口スタッフ。
(フランスで、機敏とか、迅速とか、期待すべからず)



15分ほど並んでも、3人くらいしか進まず、刻々と時間は過ぎる。
発車10分前くらいになって、
ぜったい間に合わない…とおろおろしてきた。
すると、またまた通りすがったアスマを発見。
ふたたび声をかけて「実はもう時間がなくって…!」と言うと、
彼女が行列に「この子時間が迫ってるから優先させて」と言ってくれて窓口へ。
みなさん笑顔で譲ってくださって、
もうわたし、ひたすらメルシーメルシーと、へっぴり腰。
無事発券してもらえたのはいいが
(この発券も、もう、ほんと、とてつもなくのんびり)、
あと3分くらいしかない。
広い駅を彼女が一緒に走ってくれて、いざ16番線に…!!




ここここ!!
チケットに書かれた列車の番号と電光掲示板を照らし合わせる。
と思ったら、その瞬間にドアが閉まった。
ちーん。

白い息を切らしてふたり、ぽつん。








しかし
もともとアスマが30分後のベルギー行きに乗る予定だということ。
「一緒ので行きましょう」とチケットの変更までしてくれた。
窓口では車内で追加料金が要るといわれたのだが、
アスマが車掌に事情を話すと、
チャーミングなムッシュ(車掌)はウインクしてチケットにokと書いた。
追加料金も取られなかった。
どんなシステム???

とにかく、本当にアスマに感謝。

(と、よく旅先でたくさんの方に助けられるので、
日本で地図を見て困っているツーリストを見つけたら
わたしから声を掛けるほどおせっかいなわたし。)




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急遽自由席となったが、
たまたまアスマの隣の席が空いていたので、
ブリュッセルまでの1時間半を彼女と過ごした。
ここで名前がアスマだとわかる。





彼女はパリでSEとして働くチュニジア人。
チュニジアでは小学校から仏語を学ぶので
(フランス領だったこともあり)
フランスで働くチュニジア人は多いらしい。
i-podにはいった趣味の油絵の作品も見せてもらった。






赤やオレンジの情熱的な抽象画は
日本の紅葉にインスピレーションを受けたこと、
ベルギーでは欧州各地に出張が多い父親と合流して週末を過ごすこと、
故郷チュニジアの話(それを聞いて以来、北アフリカに興味を持つ)、
パリで美味しいランチスポット、など。
あっという間にブッリュセルに着く。




北上したからだろうか、
列車を降りて肩を震わせる仕草をふたりそろってした。
アスマとの2時間がすでに充分旅であって、
わたしはひとり名残惜しく、なぜだか感無量になっていた。

ほんとにありがとう、と握手をした。
音楽を創っていることを話していたので、
アスマは「あなたをいつかMTVで観るわ」と最後に冗談まじりに言った。
「いつかね」とわたしはムッシュの真似してウインクに挑戦した。
ひとり旅は映画じみている。
アスマは地下鉄に、わたしはダウンのフードを被って、街に出た。







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by akiha_10 | 2008-11-08 09:50 | Daily thinking
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