![]() 美容院で雑誌エルデコをめくっていた。 そういえば、上京してここのサロンに行こうと思ったキメテは、 サロン特集のカタログの、 スタッフの後ろにぼやっと映る、 内装であった。 直感よろしく、内装の相性がいいことにくわえ、 運良く担当井上さんとも出会えた。 美容院特有のキメキメ雰囲気が強いと こっちがちょっと尻込みしてしまうが、 井上さんは話ができる。サクサクしている。 元のモデルが大変よろしいカタログを指して、 無謀な髪質を要求してみる時、小声でごにょごにょになるものです。 ああ、わかってる。これには、ぜったいならない。しってる。 そんなとき、 「まあ。いっとくけど外人、このひと、外人だから。 ニュアンスね、ニュアンス、これ風味ね」 と一緒に恥ずかしい気分になってくれる井上さんがすき。 共通の感じ方を持っていて、女同士話しこんでしまう。 その間わたしの大雑把さとか、気まぐれさとか、 顔の丸さとか、絶壁さとか、 四年の付き合いのデータを分析して、 「半年は持つようにするからね、あはは」 としゃしゃしゃとハサミをいれてくれる。 井上さんが言うには、わたしと、似ているところがあるらしい。 明るく居るが、考え込みやすいところ。 人生を遠くから観察しているところ。 ふと、虚しくなるところ。 3年前くらいに二号店ができて、 そちらの内装はさらに好きの真ん中。 ブリブリしていないロココ調で、 渋みのあるアンティークのテーブルやミラーを配置、 本当に、よい。 きれいだなあ…毎度思うのだが。 このアンティークがね、 この日ばかりはくせもの。 携帯はクローゼットの中だったため、 たよりの時計は、壁に掛かっていた味わい深い古時計。 ある時5時半を指していたもんだから、全然大丈夫と余裕でくつろぐ。 しかしそれから感覚で30分ほど後、 精算時に携帯ひらくともう7時。 え。振り返って睨んだのは、 未だ5時半から微動だにせぬアンチークとけい。 ぬぬぬぬぬぬぬぬ。とまってる!! アンチークのばか! オブジェらしい。 待ち合わせをしていたその日、 美容院を飛び出て、街を走る走る。 ジツヨウセイ、ジツヨウセイ、ジツヨウセイ…言葉がネオンになって、 見かけも音も、加速しすぎて線になる。 この美容院の内装が 「マンダリンオリエンタル」に似ていると思っていたら、 内装のデザイナーが同じ人だったようです。 そしてある日、いっちょまえに、 マンダリンでお茶とスコーンを口に運びながら確かめた。 うっとりするところは、いいねえ。 このあたりの、俗っぽさ、ミーハーさは、 恥ずかしいほどに、相変わらずでもうどうしようもない。 しかし本当にインテリアが素晴らしいと思う。 ここの37階はショールームみたい!気持ちが上がります。 普通であったら、同じテーブルや椅子、プリントを配置するところ、 ここは、同じオリエンタルなテイスト、同じにおいの、 あらゆる違うものを配置している。 数あるクッションひとつひとつにしろ、 形や光沢を微妙に変化させながら 厳格に定められた世界観の枠の中で、のびのびと生きている。 自由で、新しい。 東京の空がしんと額にはいったなら、 遠く下のほうでうごめく車もミニカーのように愛らしく、人ごとである。 ラグジュアリーや洗練さがありながら、 リラックスも兼ね備わっているというのが、 一番贅沢というものであろうか。 そうすると、 自然と密なる、東洋方面は有力である。 華やかで洗練されていて、 自然でシンプルで、かっこつけすぎていない。 ふと井上さんの姿が浮かんだ。 東洋か。 あれだけ西洋に傾いておきながら、 やっぱりキャンドルよりお香よね。と マッチを擦ったわたしはなかなかの浮気者である。
by akiha_10
| 2007-03-04 22:52
| Art
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瓜生明希葉/INFORMATION
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