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page a-13   GUY BOURDIN

フォトグラファー、GUY BOURDINの作品を観に、
東京都写真美術館に行きました。
小雨降る日の美術館は、もとからない太陽の誘惑をしっかり遮断して、
より集中力を高めているように思います。



たまたま見た新聞に載っていたブルダン展の告知の写真。page a-13    GUY BOURDIN_a0028990_22453962.jpg
記憶を手繰り寄せると、過去に観た事があるものだった。
二年半前に行ったロンドンのVictoria&Albert Museumに、
たまたま展示していて、
その時、稲妻にうたれたように釘付けになった、まさにそれだった。
絵とか写真とか、好きなわりに、
名前とかはなかなか覚えることができないわたし。
ただ、頭の片隅にひっかかていた「好き」の磁力が、
どこからともなく、情報をわたしのとこまで運んでくれた。



彼の多くの作品に靴が登場する。
二年半前観たときは、彩度の高さや構図の面白さ、
若干歪んだ性癖をちらつかせる作品に、ただただ圧倒されるばかり。
多少冷静になった帰路で、ん。足フェチ?と思うにとどまった。
とにかく観ているだけでお腹いっぱいだったため、
ブルダンがどういう人かまでは、掘り下げるまでに至らなかった。
再びこの展に出会えて、ブルダンをすこし知る。


ブルダンはフレンチヴォーグ誌で、
主にファッション広告をやっていた人らしい。
知ってますます興味深いのは、
商業写真にしてこれだけブルダン度(個人的な作品度)が高く、
カタログ目的にして、立派にブルダンの写真集であること。
主役であるはずのシャルルジョルダンの靴はのまれ、
もはやブルダンの作品の演出小道具ともみえるが、
この写真一枚に誰かがインスパイアされたならば、
その靴の情報がなくとも、カタログとして成功しているのであろう。
だって、誰かが言ってた、ブランドはイメージを売っているんだって。



それにしても、この人、映しているのは靴というより、
商品というより、足というより、女というより、
まったく飛んで、様々な「欲望」ではないかと思う。
人の、いやーな、でも確実に底で這っているもの。
「すみませんねぇ…」と言いたくなるような、そんな気分になる。
とても、奇麗で、セクシャルなイメージ、多用されるているビビッドな赤い血、色。
欲望が原動力となる、情熱や美しさと、
その欲望の、一過性の虚しさや軽薄さが、うらおもて。
カタログ誌のトップを飾りながらも、
実はブルダン、ドレスだって靴だって、
チャラチャラしてて、一瞬で、くだらなくって、隠ぺいするための偽装…
(でもすっごい奇麗)。
と皮肉っているように思えてならない。
それは、わたしが、受け取った個人的なメッセージかもしれないけれど。



最後のディスコグラフィーのパネルを見て、わお、と思った。
彼は12月2日パリ生まれ。
わたしより55年前の12月2日に生まれています。
たいしたことないかもしれないけれど、
多分(いや絶対)、むこうは迷惑だろうけど、
いろんな偶然が重なったうえ、同じ誕生日という極め付けに、
ひとりドラマチックに、一方的に、親近感。
へぇ、そうなんだ…へぇ…ふぅ〜ん、とにやにやしながら、帰りました。





さて、わたし、来週金曜渋谷で唄います。
今回は、ひとりピアノで唄います。
これは、誰にも逃げることなく、頼ることなく、
ステージの空気とか自分の気持とか、一度全部感じてみたら?という
提案もあってです。
おぉ…と思いながらも、今ピアノをポロンポロンさせながら、
こういうのもありね、と愉しくなりつつあります。
大人めな夜になりそうよ…。うふふ。
よかったら、気軽にふらっと来てみてね。
by akiha_10 | 2006-05-18 23:09 | Art
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