小粋でモードな映画かと思いきや。
心になにかしら影を持つ5人の女性の、いたくリアルなお話。 靴そのものではなく、靴を履いて歩む「人」にスポットを当てています。 良くも悪くも、鑑賞するのに気力体力がいる作品、スペイン映画に多い気がします。 それだけ、リアルで、刻みが深くて、心に残るのだけど。 焼き付いたシーンが何枚かあります。 5年間恋人同士であったレイレとクンのお別れのシーン、 後をひく切なさ。 いつもと違う散歩道に踏みだして、新しい世界に胸を高鳴らせる アニータの目の輝き。 そして、様々なメゾンの靴が並ぶ、セレブリティ、イサベルの 靴のコレクションルーム。 靴フェチの方、心踊るシーンに違いありません。 靴は身体表現のアイテムの中で、 一番ライフスタイルと関わってくるもの。 今日の天気と、移動と場所と、作業内容を考えて選ばれるものだもんね。 総合的にはスニーカーがやっぱり優秀なのかな? 駅前のスピード靴修理屋さんで、サンダルのヒールを交換してもらっていると こんな貼り紙が目にはいりました。 「最近ピンヒールを履いている女性が目立ちます。 ピンヒールとは、もともと西洋のパーティなどで、カーペットの上で履かれるものです。 決して通勤、通学で履かないように。」 椅子に座ってプラプラさせていた足が止まりました。 間違っている者がここに。わたしのことではないか。 修理のおじさんをチラっと見ました。 「またかよ」と不機嫌ではなさそうなので、安心。 でも、よくよく考えたら、ヒール人口が増えることでヒール交換の需要が増えるよ? おおいにヒールをすり減らしてくださいって言っていいんじゃないの?と思ったり。 本気の靴フェチは、きっとお気に入りの靴を履いたらドアツードアの移動が当たり前。 それか、痛める覚悟の余裕っぷりがないとダメなんだろうな。 今ひとつ靴ケアが足りない大雑把な私は、靴フェチと言ってはならぬ。 香港に行った時、マノロブラニクのオンリーショップが破格のセール中。 友人はその中の一足を、とても気に入って、しかもよくお似合い。 マノロといえば、大人のお値段。それだけあって、言わずと知れた安定感と美しさは確かなもの。 彼女の靴の価値観からすれば、半額以下なら頑張れば手に届く。 鏡を見ては 「でもさ、今の自分の身の丈に合ってない気もする…」と常識的な意見と 「いやいや、役職が人を育てるように、靴が人を育てるっすよ」 とよく分からない意見を対立させて彼女は悩んだ。 一日おいて悩んだ結果、今回はみおくり。 いつか、先行投資ではなく、ご褒美で買いにいけたらいいね。 ま。なんにせよ、大切なのは靴ではなくて、その靴を履いて、何を感じるかよね。 アイテムセラピーを使って、自分を少しでも前向きにさせることができたら。 そうやって、どんな靴にしろ、自分のサイズで自分の歩幅で、 3歩進んで2.8歩さがって、0.2歩くらいずつ進んでいけたら。 リスボンで、もう一度夢と向き合うレイレの横顔が、 シンデレラは教えてくれない、リアルな0.2歩ぶんの前向きさを残して、映画は終わる。 film 「靴に恋して」
by akiha_10
| 2005-07-16 23:28
| film
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瓜生明希葉/INFORMATION
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