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page i-9  唄のコロモ

祖母は洋服をつくる。
デザインから縫製まで、器用につくる。
そのデザインも、かなり斬新で、
要らなくなったネクタイをつなぎあわせたベストなど、発想豊かにつくる。

私が小さい頃から「リメイク」というのをやっていて、
着なくなった着物や洋服を、新しい洋服に生まれ変わらせる。
田舎に帰れば、新しいお洋服のお披露目会は恒例なのだ。
ついには、ファッションサークルをつくってしまい、デザインから縫製までを指導している。
長閑なところでの活動とはいえ、
「ショーと展示会に、おわれとるんよ」という多忙な祖母はかっこいい。
紅葉京都旅行の時には、紅葉背景に合わせて全身コーディネートするなど、
そのお洒落魂もハンパじゃないのだ。
写真を見ると、紅葉よりも鮮やかなのは、おばあちゃんなのだ。

一年前にお邪魔したところ、今まで見たことのなかった魅惑の着物タンスの中を見せてもらった。
成人してタンス拝見のパスポートを手にした。
大切に畳んである着物の一枚一枚をひろげては「かわいい〜きれい〜」
と、いつのまにやら真夜中のフッションショー。
そこでちょっと、甘えてみる。
「いいないいな、これさ、まさに宝の持腐れじゃんよ、一枚欲しいなー」
鏡の前で、ぞろ引く着物をヒラヒラさせながら顔色をうかがう。
「おばあちゃんもね、若い時、お給料が入った時に貯金して一枚ずつ集めていったんよ。
だから、貴女がそれなりになった時に、譲ってあげよう。」とおっしゃる。
むむむ…「それなり」とは、どんな成りであろうか。
やはり、それだけ思い入れがある宝物のようで、祖母もやすやす手放せない。
それに、わたしも着物に着られるようじゃダメだ。
譲り受けるパスポートは年齢ではなく、祖母のいう「それなり」認定をもらわなければ、取得できぬ。


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たまに、作品をプレゼントしてくれたりして、
去年はワンピースを頂きました。
展示会用につくったというが、おっと、サイズも合う。
惜しみながら裁断したという紋付の布に、お花もようが散らばっている。
「あなた、好きと思うよ」という祖母の言葉通り、おっと、好み。
というわけで、先週のライブで着てみました。写真は後ろみごろ。








未熟なライブでしたが、1フィートずつ高度をあげていくからね。
今いる、空の様子とか、雲の形も、楽しみながら悔やみながら
いつか七色ドリみたく、うたえますように。
来てくださった方々、ほんとにありがとう。
by akiha_10 | 2005-03-17 00:49 | item
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