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ニューヨークジャーナル 143

美しいものを見ると、それらを側に置いておきたいという欲求に降伏せずにはいられない。
とりわけ帽子とジュエリーとなるとイタリア艦隊なみにあっさりお手上げだ。

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ヴィンテージジュエリー。
60年代のものらしい。そういえばブローチってあまり付けている人っていないような気もする。わたしのたからもの箱を開けるとブローチが多い。アクセサリーというより、ものとして立体的で綺麗なものが多い。だからたのしい。美術品のような感覚だ。








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ヴィンテージのものは留め具の部分が弱く外れやすくなっているものも多い。大好きなブローチを二度も落として無くして泣いたことがある。なにかよい工夫を知らないか、と店員さんに聞いてみた。ピンを洋服に通したあと、厚みのある輪ゴムを切ったものを針に通しておくと、金具が外れてもゴムがストッパーになるから落とす確率が減る、ということだ。このショップに通う、ヴィンテージジュエリー好きのマダムの教えだとか。実際にお店でやってくれた。金具を外した状態でぴょんぴょん跳ねてみてもゴムががっちり守ってくれる。こりゃいいや。ゴムの欠片もサービスしてくれた。










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帽子。
Selima New York
眼鏡デザインSelimaOptiqueも積極的。デザイナーセリマがなんて素敵なこと!リヴィエラア出身のとても可愛いらしい、ジュリエット・ビィノシュを思わせる女性だ。
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靴。
レインブーツを探していた。
いかにもスウェードの見た目なのにラバーだという面白い素材を発見。
しかもプラスティックのりぼんが付いていてキッチュ。
かわいい!と思ったら夏に心酔していた
ヴィヴィアン×メリッサの同シリーズであった。
履き過ぎてパーツがもげてしまったサンダル。
このブーツは雪の日もたのもしい。











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タイツ。
GiGiKというタイツ、靴下専門店。
精巧に編まれたもの、膝上だけレース、という可愛さとセクシーのちょうど真ん中をゆく、気の効いたデザインが豊富。ANTIPASTの靴下よりはマニュファクチュアを感じるけれども、アンティパストの靴下を手に取った時以来の感動を体感させてくれる。
行く度に「わお!!」と興奮するのだが、この緻密さと可愛さはMADE IN JAPAN。ということは日本でも買えるのか。オーナーはコリアンの女性、センスよいです。ただ、興奮して買ったレース編みも、ディスプレイのスラリとしたおみあしが履いたのと、わたしが履いたのとでは柄の幅が随分ちがう。様子がおかしい。



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でも履いちゃう!
自分らしく自分の好きなものを存分に楽しむNYでは
よしということにしておこう。













好きなものに囲まれる恍惚感、
ふんわりとした幸福感は誰にとっても聖域だと思っている。
今は亡き門司の祖父は、帽子と金のジュエリーと杖を
コーディネートし、誰に会うわけでもなく
しゃれた喫茶にひとりで珈琲を飲みに行っていたらしい。
幼少の記憶をたぐれば、
彼は芸事が好きでいつもニコニコ、
社会的存在として、また夫や父としての評判は
いまひとつ、いや、いまふたつだったが
大好きな帽子とジュエリー、杖にかわってバッグを身につけて
ひとりでコーヒーを飲むとき
「おじいちゃん、わかるよ。」とわたしは宙と交信しているのだ。
わたしたちはいい友達になれそうだ。
by akiha_10 | 2013-01-13 08:04 | NY Journal
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