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ニューヨークジャーナル 118

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ミートパッキングエリアでアイコンのひとつともいえるスタンダードホテルがいつのまにかイーストヴィレッジにもできていました。ペントハウスのルーフトップ。こじんまりしたスペースだけど開放的、ダウンタウンを見下ろし初秋の風にふかれる。

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ここで日本人女性がライヴをやっている、という漠然とした情報で誘われて行ってみたらチボ・マットの羽鳥美保さんがパフォーマンスをされていた。完全なるインプロヴィゼーションで、その場にいた音楽関係の方が、このようなノイズ系のエレクトロはまさにLowerEastSide系だというのを教えてくださった。わたしがNY的なサウンド、と把握していた最近よくお目(耳?)にかかるソリッドでノイジーな音楽、というよりアート寄りの実験的音楽はNY的というよりLES発信なんだなぁ。ここ数年で確立されたブルックリン系(一時の下北沢のような音楽発信地)は、もうすこし定義の幅がひろがり、メロディアスで音楽的なものを示すらしい。ファッションでもよく使われていますが、どこでも地域の◯◯系とカテゴライズするのは同じなんですね。そう考えると文化はロケーションベースに沸き上がるものなんだと考えさせられます。

観光で来ていた時に直感的にLESが心地よく感じ、近所に住もうと決めた。自分が爽快でいられるのでここで空気を吸っていたいと思った。昔は危ないと言われていたイーストヴィレッジの東、アルファベットシティあたりも小さなバーやカフェがあって散歩しているだけで鼻歌がこぼれる。ブルックリンブームにおされて、「クリエイティヴなことをやろうとする人がまだマンハッタンにいるなんて」とステイタス逆転という風潮すらあるマンハッタン。そんな中で、ここの辺は唯一おもしろいエッセンスが残っている場所なのかもしれない。いや、どんどん先を見越している、まことのニューヨーカーから言わせればわたしのような末端のビジターまで面白いという印象が届いた時点でもう古いのかもしれないね。まあ、大切なのは客観的にブームな場所であるかより、今の自分がどこで一番心地よいと感じるかということ。

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ダウンタウン空中でわたしの頭の中でキュルキュルとレコードが逆回転する音がした。そうだ、ちょうど音楽活動に誘われて、福岡から東京にプリプロなどをしに行きはじめた高校生のころ。ミュージシャン仲間から「明希葉ちゃんこれ興味あるかもよ」と頂いた音源がチボ・マットだった。その時聴いた「Sugar Water」を機に今も好きな映像作家のミシェル・ゴンドリーを知ることになった。わたしはあまり熱心に音楽を聴かないので音楽性がどうとかこうとかという事の印象よりも、なによりNYでなんだか面白そうなことをやっている方がいるんだな、という全体像が田舎娘にはひたすら鮮烈で、今考えると頭の片隅にぼんやりと彼女たちの存在はずっとあったような気がする。こうして図らずも10年以上も前の点と現在の点が結びついて、ノイジーなパフォーマンスは主観的にあらゆる含みのあるサウンドに聴こえた。夜な夜なのNY探検で、最近音楽関係の知り合いが増えてますますおもしろい!NYでは人との出会いがルーフトップの夜景に勝るハイライト。



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眺めのいいバーというと、友人キャサリン(右上で激しくダンシングの彼女)の誕生日会で行ったサウスストリートシーポートにあるBeekman Beer。ブルックリンブリッジを背景に、イーストリバーに臨むビアガーデン。下が砂浜になってマンハッタンでビーチ気分。たくさんデートをしているモテキャサリンの目下の悩みは「どうしてNYの男はみなボーイフレンド(彼氏)にならないの?わたしが求めているのは一夜の楽しいデートではなくて、彼氏なのに!」と最後は「I hate NY!!」とまで吐き散らしておりました。

男女間におけるCommitment Phobia(コミットメント恐怖症)という、親密になることや「わたしたちはこういう関係である」という公約を恐れる、NYの独身男女によく見られる傾向をさす言葉がある。長年つき合っているカップルが正式に結婚に踏み切らなかったりする場合を言うことが多いらしいが、デート中の男女間においても公の彼氏、彼女になるかならないか、という場面でも使われたりします。中学家庭科の授業で事実婚という概念が革命的だなぁと目から鱗をボロっと落としたわたしは、様々な形があってもいいんじゃないかなぁ、と個人的には思ったりもするんだけどねぇ。


未だに自分のバースデーパーティーを自分で主催するアメリカ文化(NY文化なの?)は面白いなぁと思う。「みんな今日はわたしのために来てくれてありがと〜!」と生まれながらの主役DNAがあってこそ。みんなパーティーが大好きだから、これをきっかけに友達や出会いづくり、と来場者のためにもなるんだね、きっと。友達の友達はみな友達文化のアメリカ、誘ってみた元ルームメイトのカミール率いるフレンチ集団もご来場。こうしてパーティーは膨れあがっていきます。来月にはパリに帰ってしまうカミール!次はきっとパリでね!
by akiha_10 | 2012-08-31 06:48 | NY Journal
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