![]() 時間に縛られたくないくせして、腕時計が好きなわたし。 なぜだかは分からない。 でも祖父がやっぱり好きだったと聞いた。 ここはDNAのせいにしてしまおう。 値段よりも、例えば世間でいわれる価値よりも、 個人的価値観を優先して選んだ 愛着と思い出のある時計は、かわいい。 何年か前、遊びに行った鹿児島で出逢った腕時計は 若手時計職人が丹誠込めて作った手づくり。 アンティークっぽく作っているのですが、 ほんまもんに負けない趣き。 文字盤の裏に、作者の名前とthanksの文字。 どこかで生きているナオミさん、あなたの時計、私が買ったよ。 一点ものだもんね。とてもドラマのある時計です。 それを身に着けていると、 「年期はいってるねー」とか「なにそれ」と言われる。 気になってくれる人には 冗談で「海の底から拾ってきたんだよね」と言っている。 沈没船の部品みたいなフレームに、深海色の文字盤がおさまっています。 オメガのアンティークがとっても魅力的で、ガラスケースにへばりついては、 「買おう、いや諦めるべし」といったりきたりの時期がしばらく続いた。 そんな中、ちょうどロンドンに行くことになる。(行くことにした。) 「モノなんていらない」と思いながら…心は密かに骨董市に期待を寄せる。(まったくの矛盾…) 期待以上にいっぱいある! なるほど、みんなここから買い付けて売っているのね、というルートが分かった。 ほほう、あとはバイヤーの交渉の腕次第ってとこね。 と思いつつも、なかなかピンとくるものがなくて、 気まぐれ通り雨に打たれる頃、雨宿りで偶然入ったお店で出逢いは訪れる。 スティーブの営む時計屋のガラスケースは偶然にもアンティークオメガが勢揃い。 しかし、メンズばかりが並んでいたので、レディースはないかとお尋ね。 あ!と急に思い出したように、上の棚から段ボールのようなものを取り出す。 そこから出てきた華奢なオメガは、日本で検討していたものとそっくりだ。 やった。こぼれる笑みを隠しつつ、しぶるフリをする。 そして二人で値段のさぐりあい。 「君に出逢うための時計だね」なんて歯が浮くような商売文句も ロンドンでは絵になるのだ。 今までのどこよりも安くなったので、このへんでいいかな、と思いつつ。 最後のひと押しのところで「ここがお互いに気持の良い値段だよ。」 と言われて、妙にその言葉が心に染み入った。 「気持の良い値段」とは、売る人と買う人両者の満足メーターの一番上で、 これ以上いくとバランスが崩れるっていう具合。 帰国してみんなに見せると 「ほんもの?ちゃんとしたやつ?」とかゆう。ひどい。 オメガ時計とその思い出は、保証書と、なにより自分の価値観で証明されるのだ。
by akiha_10
| 2005-01-19 00:24
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瓜生明希葉/INFORMATION
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