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ニューヨークジャーナル 112

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わたしにとって、どうしようもなく魅力的な20年代のアメリカ、「ジャズ・エイジ」。(1920〜1929)ファッション、音楽、禁酒法、ギャング、癒着、消費は美徳、暗黒街、ココ・シャネル。
「足るを知る」エコ&ミニマリズムなこの時代において真逆ともいえる
このカオティクな時代をわたしは探求せずにはいられない。もう、大好きで仕方がない。
人間の奥底に潜むあらゆる欲望やLIVE IN THE MOMENTをダイレクトに感じられるからかもしれない。

そんなわたしのジャズエイジ好きを察した友人が誘ってくれたSPEAKEASEY DOLLHOUSE
ローワーイーストサイドの看板のない「お忍び」バーで繰り広げられるインタラクティブなパフォーマンスは
前に経験したSLEEP NO MOREのカジュアル版のようで、とても興味深かった。

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「必ずではないが、20年代を意識したドレスコード推奨」と事前に送られてくるメールに
胸が高まる。わたしが思う20年代ファッションを端的に言うならば、
パール、レース、大胆なヘッドコサージュ、フェザー、クロシェ、フリンジ。芸術的で構築的なアールデコ。
そうは言ってもこの日のためだけに孔雀のような帽子をカスタマイズするのは現実的ではないので
少ない自分のワードローブの持ち札で見繕ってみた。
大好きなリバーレースのトップスは(セールでやっとこさ買った)ステラ・マッカートニー。
ご存知ポール・マッカートニーの娘さんですね。彼女のデザインはすばらしい。
なにかしら頭につけたくて母から譲り受けたセリーヌのスカーフを巻いてみたが
これはバケーション風すぎたようで、入った瞬間「あ、まったく的外れ」と認めた。
20年代の持つ気候が違った。
特に女性はみんなおめかししていて、とっても素敵でした。
これがお手本!
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Speakeasyの意味は禁酒法時代の酒密売店のこと。
Dollhouseは直訳で「人形の家」という意味もありながら「娼婦の館」という意味を暗に含む。
つまり芝居の設定は20年代酒密売をしている娼婦館、である。前半は役者も交じって(誰が役者かわからない)お酒を飲んだり生演奏のジャズにのってチャールストンに興じたり。わたしもチャールストンに参加してみた。自分でいうのもなんだけど、ステップののみこみが結構速かったんよ。禁酒法時代なのでいつでもエクスキューズできるように我々はティーカップで酒を飲む。それがとってもキュートに思えた。


バーに入る前のレセプションで飲物は何があるかと尋ねたところ「炭酸水とスペシャルコーヒー」と女は答えた。「スペシャルコーヒーって何?」と聞いたわたしが野暮だったが、「たくさんの質問のある人は嫌いだわ」と女は言ってのけ、既にそこから芝居ははじまっていたようだ。スペシャルコーヒーは言うまでもなくアイリッシュウイスキーらしきものが入ったアルコール入コーヒーであった。

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後半から突如役者が芝居をはじめ、我々はその様子を見守る。
我々ゲストは色々なフラグを通過しながら、口論の末ある男の殺人現場を目撃する。裁判が始まり、裁判官が我々オーディエンスに目撃者としての証言を求め、皆が「彼が殺人者だ!」と叫ぶのだが、ここはもぐりの酒場。
「みな酔っている」ということで我々の証言は採用されず彼は無実となるストーリー。




彼が舌をペロっと出して我々に見せた顔に本気で腹が立ちそうになったのは、
おそらくわたしは酔っぱらってその瞬間その物語を生きていたからに違いない。
皆がストーリーにもぐり込め、皆がストーリーの一部となり得るトリップ感のあるパフオォーマンスだった。


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ジョニデ「風」の役者さんと
なんとなく写真を撮ってみたり。
ああ、なんて魅力的なんだ
20年代のこの剥き出し感。
わたしの探求は続くのである!
by akiha_10 | 2012-06-24 18:45 | NY Journal
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