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ニューヨークジャーナル 94

思い出すおすすめブランチ。

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ひとつはNORMAN'S
よく聞いてはいたのですが、ここのエッグベネディクトは本当においしかった。
びっくりするくらいとろける。

ミートパッキングエリアのPastis
オニオングランタスープがとてもおいしい。
なんといっても雰囲気が、パリそのもの。
タイル張りされた床や店内を映し出す、いぶされた額縁にはいった重厚感のある年代ものの鏡。
あまりに素敵すぎてウェイターに尋ねてみると、
オーナーのこだわりでほとんどのパーツを主にフランス、ヨーロッパから持って来ているとのこと。
机や椅子は新しいものを古いもののように加工したものだけどね、と説明してくださいました。

特に見てよ。この洗面台シンクまわりの美しさったら。
誰もいなかったので撮らせていただいたけど半ば不審者。


このオーナーといわれるのがNYで数々の大人気レストランをプロデュースし続けている、
レストランキングといわれるキース・マクナリー。
よくレモンタルトやカヌレを買いにいくソーホーのBalthazarと同じオーナーです。
レストラン兼ベーカリーの「Balthazar」も、ソーホーの真ん中に突如パリ。
内装といい世界観といいなるほどこのセンス、彼がロンドン出身パリ在住歴有り、に所以するものであり、
また映画のセットにいるようなトリップ感は彼自身が映画を学び当初ディレクター志望でNYにやってきたことですべてが繋がる。
映画を創作しなくとも、それに匹敵する数々のストーリーが生まれる場としてパリを「パリ」らしく切り取り、またNYに「NY」しにきた人たちに提供し、結果的には多くのドラマを「監督、演出」していると言えるだろう。このいかにものパリらしさは、彼がニューヨーカーでもなく、生粋のパリジャンでもないからこそできるデフォルメだと思った。本当のパリ出身の方がつくったら、おそらくもうちょっと、くたっとゆるくて汚い。ふふ。

わたしがとにかくレストランが大好きなのは、食べることはもちろん言うまでもなく好きで、だけどそれだけでなく、ほろ酔い気分でレストラン中に浮遊しているそれぞれのドラマに包まれるのが好きだからです。
そしてふっと、今までにあった甘酸っぱいこと、しょっぱいこと、すばらしい出会いをちょっとだけ俯瞰して
「人生って不思議。C'est La Vie !」と突如はっと開ける、生きている実感やその有り難さ、こみ上げる感謝、宇宙の流れの壮大さに気付く瞬間がきもちいい。
若くもないけれど、だからといってどっぷり浸かるほどの渋みもないだろう人生経験年数で
はやくも振り返って耽ってどうするのでしょう、我ながら生意気。
このままゆくと、まさに耽適齢期、ヴィンテージのお年頃になった時には、もう耽ることに関してはエキスパートになっていて、「耽(ふけ)方上手」という本でも執筆していることでしょう。
「老け方上手」ではありませんよ。まあそれはそれで書けたら素敵だから、
その時はせめて「老い方上手」にしよっと。響き的にね。
でもね、いつも今夜が最後の晩餐だという心持ちで耽ると、その美しさに泣けてくるから。
だから美味しいものが好き、ワインが好き、心の通う人との笑いが好き、一人も好き!
by akiha_10 | 2011-12-27 16:20 | NY Journal
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