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page a-5 エッグパイとLIT 前編

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はあ、きれい…。
美しさのあまり、ため息が出るとはこういうことか。

エントランスに入ったら、まず左側の光が視界に入る。
宝石のように並んだ甘いスイーツの数々。
どうしてこんなにも、綺麗に見えるのだろうか。
醸し出す雰囲気が、コンセプトに沿った細部の演出によって統一されているのね。照明、インテリア、ホール独特の食器が重なって響く音、
おもてなしスタッフの仕草に至るまで。

ここは、とあるデリカッセン。
奥の階段を降りると、まん中のレジスターを囲んだスクエアの冷蔵ケースがある。
サラダやテリーヌ、お魚からお肉、色鮮やかなお惣菜が並ぶ。
オリーブ、パテ、パンとチーズ。

確かに、少し「ご褒美」の値段ではある。確かに、入るときは多少気取らないといけない。
でも、ずっと居ても飽きないのは、単に食べ物に興味があるから、という理由だけではない気がする。
食材を素材とした、アート空間みたい。

周囲の壁の棚には、これまた興味深い品々がぴしっと並んでいる。
蜂蜜だけでも何十種類とあって、気になるものばかり。
同じように、オリーブオイルやジャム、お茶、ソースの類も豊富。
スパイス系もね。世界の塩大集合!
「お料理は、スパイスのいいものを使わないとね。」が口癖のお料理好きのケミィが泣いて喜ぶ品揃えだ。


ミニトマトが大好きな私は、小学生の頃、年に一度の誕生日プレセントのリクエストに
「あっまいミニトマトを腹いっぱい」という希望を結構本気で候補にいれていた。
可愛いいんだか、可愛くないんだか。
白玉が大好きな私は中学生の頃「白玉に埋もれて、口を空けて泳いだら…」と少し願った。
窒息するよ。
現在、「ここで好きなだけ、お買い物をしよう」というのが目標のひとつになった。
言葉の意味通り、まさに食べ物に対するハングリー精神は生涯貫かれることでしょう。
でも、目標は、成長してほんとよかったよ。

ウロウロすること数分、本日はエッグパイを買うことにした。
目移りして、だいぶ私を悩ませた。
が、まんまるい卵の黄色が、色とりどりのケースの中で、一際アピールしていた。

わくわくしながら、食べてみる。
お。キッシュのようで、キッシュでない。スパニッシュオムレツのほうが近い。
思ったより、全体的に歯ごたえがあって、卵を充分に味わう。
味は優しくて、ほのかにチーズの味がする。
パイなのに、さっぱりしていて、飽きない味なのです。

ここは新宿なのに、静寂をたもったホテル、パークハイアットの、一階にあるデリカッセン。
世界のビジネスマンが、そのクオリティの高さに、たいそう支持するホテルらしい。
そんな高層ビルを見上げながらエッグパイを楽しむ私は
ふと映画「ロスト イン トランスレーション」を思い出す。
by akiha_10 | 2004-11-26 18:26 | Art
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