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ニューヨークジャーナル 51

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いつか行こうと気になっていたイタリアンのお店がウエストヴィレッジにあって、
ちょうどそのあたりで用事があった帰りに、
カウンターがあることも調べていたので、おひとりさまで行ってみた(よろこんでっ!)
Dell'Anima

前菜はSWEEETBREAD。
これ、以前別のお店で前菜に「甘いパン?」と思って冒険オーダーしたらお肉がでてきて、
学習した一品。
カナダ産のホワイトヴィール(ミルクだけで育った仔牛)のリードヴォー(スウィートブレッド・仔牛胸腺)
というお肉の部位の名前だそうです。
これがなんとも、ホルモンのような、フォアグラのような、ウニのような、贅という罪を犯すかのような
禁断と官能の食感で、ひとりで徹底的に味に集中して違う世界に飛んで行ってしまっておりました。

そうしているうちに、カウンター隣の席も女性ひとりで現れて、
なに頼んだの?とお料理のことを話しているうちに意気投合してきて、
彼女もお料理が大好きで、底抜けに明るくって
食べ物は人生、ごはんは人生、お料理は健康、とだんだん声もはってきて
気付けば「NO FOOD,NO LIFE!!!」と二杯目を乾杯していました。
彼女はダンサーをやりながらこのレストランの系列店でサーバーとして働いているということ。
お休みの日に、わざわざ自分の働いているお店の系列店に来るって
とても献身的な社員ね、と言ったら、
このお店のシェフ(同じシェフが行ったり来たりらしい)の味に心底惚れていて、
人も雰囲気も大好きだということ。
美味しいお店は、働いている人がそのお店を愛している、これはひとつの指針であるような気がする。




そこから完全にガールズトーク(何歳までガールズといっていいのだろう…?は置いておいて)。
興味深いのは、◯◯系アメリカ人という、
まさに自身の両親と共に移民してアメリカ人になった方と、
もとから両親もアメリカ人で
(といっても何代か前は同じく移民なのだが)アメリカ人、といわれる方とは
育った感覚や価値観が違うらしく、今つき合っている彼とのそのギャップが大きな問題だという話題。
彼女はジャマイカ系アメリカ人で、小さい頃からタフに育てられ、
弁護士か医者になれという教育のもと育って
(結局夢を選んでダンサーだけどね、と肩をすくめ舌を出して言っていたが)、
必死に勉強し、同時に働き、多くの困難も挑戦も、全て自分自身で対処してきたとのこと。
比べて彼は根っからのアメリカ人だからすべてがイージーで
(と彼女は言っていたがこれもその人の気質によるものだと思うが)
教育の重要さについての認識、自分で決断すること、サヴァイヴする能力がもの足りない、とのこと。
彼女の話を聞きながら、幼少期からアメリカで育ち、
市民であり住民であり問題なく意思疎通ができても
様々な葛藤や違いがあからさまに存在していることを垣間みた。
賢くタフな女性が、すこし頼り無さげな男性にひかれて、(そして両親も反対するし…うんぬん)
というのは万国共通トピックだなあ、と聞いていたのです。



手打ちパスタのボロネーゼとドルチェのレモンタルトが終わっても
話は続き、笑いのツボが同じですごく盛り上がってしまったもんだから、
オープンキッチンのコックにふざけて
「あの二人のテーブルはもうお酒禁止!(そんなに飲んでないけども…)」
と言われたくらいで、
ひさしぶりにお腹の底から笑って、よい意味で期待を裏切るとっても楽しい夜になった。
(気付けば6時間強カウンターに根を生やしていた…)


ニューヨークジャーナル    51_a0028990_1453559.jpg閉店が近づく頃、
彼女のレストランの元同僚も来て、
グラッパを飲みながら
さらに話がもりあがり
今度はそのお友達と、
彼女が働いているレストランにごはんを食べにいこうという流れになった。
ごはんはコミュニケーション、
ごはんはライフ。
イタリアンらしく陽気で美味しく
とってもよいレストランでした。
たべものに感謝、
出会いに感謝、笑える時間に感謝、
ごちそうさま。
by akiha_10 | 2011-05-04 02:14 | NY Journal
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