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page t-97    空煩サンド 5(追記)

駅の浸透圧は高い。

たとえば電車で、「やっぱり日本はアジアなのだな」だとか
張り巡らされた広告を見て「飽和…」だと思ったり
自分だけサファリパークの鉄格子の車にはいったかのような、
周りから見たら
ある種の勘違いの優越感だと、
あまり歓迎されないだろう、
その感覚が日々薄れていくことを惜しみながら、
日々は悲しいくらい客観的に流れている。

こういった、
ひとりだけ大事件!
の高揚感、
周囲との気持の濃度差を自覚している切なさは、
毎度ながら旅の産物。
まだすこし抗いながら、
今、わたしは浅漬けきゅうり。
日常こそ旅!といえど、
やはり、塩ぬきをしに、
非日常に出かけたい!




回想になる前にちょっと追記をね。
(回想より追記のほうが手前な気がする。)






そもそもなぜモロッコか。
5~6年前に古本屋で手にした
「Living in Morocco」がきっかけでした。
モロッコインテリアの本なのですが、
その小物たちの色彩の美しさと、
インテリアの洗練加減と土っぽさのバランスに惹かれて購入。
思えばパンケーキの「bills」のキリムに反応したり
チェンマイの色彩、雑貨に心奪われたり。
おそらく、根本的にクラフトが好きなのだろう。
suggest gameをするならば
家はドイツ寄りに実用的に、無機質に、つるんと建てて、
ぬくもりのあるモノを収集、配置していきたいイメージ。ああ、とまらん。
それからというもの、
モロッコ特集をした雑誌があれば反射的に買ってしまう、
という年月が続き、今回は募る想いがやっと実現。


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ということもあり、
インテリアも楽しみのひとつでしたので、
1日目のゲストハウス以降のお宿はリアドを選びました。
リアドとは「邸宅」の意味で、
邸宅を改築し宿泊客を受け入れるように
作った家を「リアド」といいます。
マラケシュの旧市街の中に、
個人オーナーの持つリアドが数百軒もあり、
大型ホテルよりモロッコらしさを満喫できると思い、泊まってみました。


マラケシュとエッサウィラで2つのリアドに泊まりましたが、
どちらともクッションのファブリックからランプまで、
オーナーの美と空間へのこだわりがあり、独特な雰囲気があります。
まさにエキゾチック。
どちらもオーナーが優しくとても家庭的な雰囲気でした。
(夜戻ったとき受付にパスポートナンバーを書いた
わたしの予約表?が放置されていたのは、ゆるすぎだが!)

たいていのリアドには中庭があり、
その周囲に部屋があります。
オーナー自ら用意してくださる朝食は中庭でいただきました。
エグゼクティブな価格ですと、さらに優雅さ(と情報セキュリティ?)が増すのでしょうが、
お手頃リアドでも、充分モロッコさを楽しめますよ。
ただ、夜は冷えたがね…(リアドに暖房器具はほとんどないので)
その蓄積があのオチ…?



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リアドは旧市街の迷路のような
スーク(市場)を迷わなければ
見つけられず、
また看板もかなり地味なので、
辿りつくまでもエキサイティング。
お小遣い稼ぎに
道案内しに寄ってくる子どもに、
最後まで慣れなかったな…。
無事たどり着いて
オーナーの優しさに触れながら
ミントティーをすする安堵感は格別。
by akiha_10 | 2010-01-25 23:46 | Trunk

page t-96    空煩サンド 4

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帰ってまいりました!

結果から申し上げますと、
パリに着いたものの
初日夜から
風邪をひいてパリではほとんど寝込んでおわり…

という完璧なオチつきで、
この度の旅、終了。

どーん!!




それでも初日はパリで6日からはじまったお目当てのソルド(セール)に繰り出し、
あまりのかわいさ、安さに鼻血を出しそうなくらい興奮しておりました。
やばいやばい!!
憧れのハイブランドも(買わないにしても)
清水の舞台から「うさぎ飛び」くらいで買える!!
この「可能性」があるだけでも、ぐっと買物が楽しくなる。




なにもないのに全てが在るような
砂漠と星空 から
もう既にたくさん在るのにもっと、もっと、欲しい
煩悩の世界 へ

旅の予定を立てながら
この振れ幅はいったいなんでしょうね、
と空と煩の狭間で考える。


いっそ砂嵐とともに煩悩が飛ばされないじゃろうかと
(意外とかなり寒い)砂漠の夜に
身を置いてみたが
ああ、やっぱりふかふかベッドがいいな、とか、
先ほどの、原住民の微妙すぎるスープは一体何味?
おなかすいた…、とか
おふろはいりたい…とか、
砂漠を構成する砂粒量に負けないほどの煩悩が
さらさらと積もり、
まるで砂時計の山のように、
静かに、でも、順調に、確実に、
欲望の砂丘を高く高くしていくばかりなのです。



そしてパリで、この有様。
前からよくよく存じ上げていましたけれども、
この自分の、世俗的なさま、たら。

わたしはとても欲張りだという自覚があるのですが
それと同じくらい罪の意識が裏っかわにベロンと張りついておりまして、
油断するとくらーく葛藤します。

「洋服とかご飯とか、なんか、お洒落なかんじ」
に救われる単純な自分を愛おしく想い、
同時にその浅はかさを、軽蔑の目で見つめているのです。


しかし、
この空と煩のシーソーゲームこそ、
まさに「生きている」醍醐味なのかな、
なんて
パリ菌と戦いながら想ったのでした。



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結果的には、ほとんどパリでは動けず、
超不完全燃焼。心残り。(そこに煩悩あり)
まあ、そういった意味では、今回
パリで精力的に煩悩の生成と解放、が
許されなかったことは何かのお達しかも。

もし「空煩サンド」という空と煩という
クラッカーにわたしが挟まれた
ビスコ的菓子があるならば
クラッカーをわったとき、
べたっと、空のほうにわたしが
へばりついてる、
そんなかんじ。




フランスの風邪はフランスの薬じゃないと
やっつけられないときがある、
と聞いて在住の日本人の方から
お勧めされた薬。
こんなとこまで、デザインがかわいくなあい??
と一人鼻を真っ赤にしながらちょっと感動。








アラビアントラベルの結末として、
この風邪、
外はパリ。
ベッドの中でふつふつと笑いがこみあげてきて、
心底、「おびごど!(お見事!)」と
呟いたのだった。
フランス風邪は気のせいか、
重い。
しんどかった。




今は元気です。
さあ仕事だ。
by akiha_10 | 2010-01-14 18:06 | Trunk

page t-95    空煩サンド 3

盛りだくさんに色々な事が起こっておりますが順を追ってザゴラの話をもうすこし。
ザゴラ砂漠に行く道の途中
アトラス山脈を越え、標高2260メートルのティジン・ティシュカで休憩。
モロッカンドライバーのおんぼろカーで
ハイスピードかつ激しい運転で渓谷をカーブするのは
なかなかのサバイバルであります。ザゴラメイトと時折、目をまるくしながら目配せするのでした。



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さて、今回のモロッコ旅で得た一番のお気に入りアイテムは、このカゴ!!
ザゴラに行く途中でベルベル人(モロッコの原住民)から買ったカゴバッグです。
色合いが絶妙で、一目ぼれ。このコロンした形も。
これは絶対にほしい、と思ったので少々高値でも手を打ちました。
しかし、カサ張るカゴ、
当然スーツケースにも入らず、このあとずっと手荷物として持ってまわることになるのです。






ここで、びゅーんと時間を早送りしまして、
起きたてほやほやの話をひとつ。まさに昨日の話なのですが、
あろうことか、このお気に入りのカゴを、
エッサウィラ(モロッコの海岸地帯)からマラケシュに帰る長距離バスの中に
置き忘れてしまったのです。
今まで大切に抱えてずっと持ってまわったのに…
ちーんの極み。愚の骨頂。

バッグにエッサウィラで買ったモロッコランプも入れており、
物として残るモロッコをすべて置いてきてしまったわけです。
この、置き忘れ、もはや己の愚かな習性として染み付いてしまっているので、
いつも「ああ、またか…」と慌てることを忘れてしまいます。

ちなみに一昨年のパリのひとり旅からの帰国のときも
Macを成田から帰る電車の網棚に置き忘れて帰ってしまうという、スーパーうっかりさん。
しかも自宅で写真を取り込もうとするまで、
忘れたことに気づかなかったという超重要危険人物。VIDP。
翌日上野で無事Mac救助。心底自分が信用できぬ。
がんばるから。怒らないでください!!(誰にむかって…?)





昨日は夕方にマラケシュからパリに移動する日でした。
空港でカゴを持っていないことに気づいたのですが(遅っ!)、
既に空港。
「自分自身さえ持って帰れればOK」がモットーの旅。
所詮はモノ。
ああ、でもかわいかったな…くやしいな…
マネージャーに買った微妙ならくだグッズもあの中に入ってたな…まあいいや。
などと思いながら、あのカゴは砂漠で見た幻覚だということにした。



すると、パリ行きの便が、パリ豪雪のため大幅(3時間くらい!)に遅れるというではないですか。
これはチャンス!と思い、
チェックインだけして、いざカゴ探しの冒険に、マラケシュ市内に戻る。(空港から30分くらい)


スープラツールという長距離バスに乗ったのですが、
エッサウィラとマラケシュ間(片道3時間半)をピストン運行している様子だったので
望みはかなり薄。ほぼ、ダメでしょう。
まあ、でも時間はあるし、1%でも可能性があるなら、
と下車したマラケシュ鉄道駅に行ってみました。
スープラツールのオフィスの場所を聞いて
いざ、ポケットに残っていたくしゃくしゃのチケットを片手に
「このバスに荷物を置き忘れたの!」と尋ねてみた。
ほとんどの人がフランス語かアラビア語を話すので、
英語がわかるスタッフを探し手当たり次第尋ねていると(かなりお騒がせ)、
気づけば数人のモロッカンが数あるバスの中を探してくれていたのです。
「so stupid~!」と笑われましたが、
そんなの一番自分でよくわかっとりますけん。
そうですよ、おばかですよ…。

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実はその前日に、
モロッカンに対して人間不信になる
出来事があったので、
(まずは自分不信になるべし。)
これには心動かされました。
どこに行っても、いい人もそうでない人も居る。
情勢や国民性によって、
絶対数はまちまちだと思いますが、
モロッカンに対して揺れ動く
性悪説or性善説の振子が最終日にして、
「善」寄りでとまった出来事でした。


すこし待っていたところ
「たぶんこのバスはエッサウィラから戻ってくるところだと思うよ」と言うモロッカン。
そうこうしているうちに、ちょうどまさにそのバスが戻ってきたではないですか!!
「多分このバスだよ」と言ってくれ、
お客さんが降りたあと、後の座席を見に行くと、、、、あ、ありましたよ!!!
カゴバッグがぽつんと。
(高さがあって上の棚に収納できなかったのでバス後ろの踊り場においていた)


もう、奇跡です!
ファンタスティックです!
トレビアーン、アラビアーンです!!
摩訶不思議、
ベルベルマジック!

(いいえ、ただの己の過失です。)


あまりに嬉しくって、「メルシイボクウ!!!」とモロッカンに
ハグしてやや大袈裟に胸に手をあてました。どうしにかして感謝を伝えたかった。


ふたたび空港行きのバスに乗って、もう、嬉しさのあまり、
心の中でくねくねとアラビアンダンス。
夜のマラケシュを車窓に流しながら、
運命的な交錯に「お見事!」とひとり呟いたのであります。



ちなみにパリ行きは無事飛んで、
今日の夜中の3時に到着しました。
意外なことに、こんなに飛行機が遅れたりすることは旅人生ではじめて。
実はドイツ→マラケシュもかなり遅れた。
これはもう日本に帰れるかわからないですね(なんて)。
旅全体がアラビアンマジックに覆われているような気がしてならない。


今は滞在先でパンオショコラをかじりながら。
昨日まともなものを食べれていなかったので、かなりしあわせ。
文明の安心感よ!「知っている」という安心感よ!
でわ、ゆるゆるとしてきます。
(あ、気をぬくなかれ、じぶん。)
by akiha_10 | 2010-01-08 21:40 | Trunk

page t-94    空煩サンド2

引き続き、モロッコより、こんな一夜物語。
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現地で1泊2日のザゴラ砂漠ツアーに参加しました。
ツアー参加者8人でバンに乗って
片道8時間のドライブと1時間ちょっとのらくだライド、砂漠でテント泊、
と、結構ハード。


らくだは意外とスムースに乗りこなせましたが
何気にジョーバ的エクササイズが期待できそうです。
実際、一日経った今、腹筋が、いたむ。

肝心の砂漠は、期待ほど「丘」ではなかったのですが、
(さらにもう一泊してメルズーガに行けばお望みとおりらしい)
はじめて星屑を見ました。
まさに、屑。
こんなにちっちゃい星があったのね。
辺は正真正銘の闇、
こんまい光がちりばめてある夜空、
わたしは、なにものでもないことを確認し
わたしはあって無いものだと確認し
キャメルに乗ったキャリアがただゆらゆらと。






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しかし、なんといってもツアー参加者、
ザゴラメイトとの出会いがすこぶるエキサイティングだったのであります。
中国人、スリランカ人、ノルウェー人、ブラジル人、スペイン人、日本人、と
異なるナショナリティが集まって寝食を共にするんだから、
それはもう、得難き経験。


ラッキーなことに皆ユーモアに長けており、
笑いのツボがボーダレス、
a lot of laughingsだったのであります。
やはりユーモアこそ、人生を気楽にし、
そして和解と平和をもたらす、と信じてなりません。



なにかにつけてすぐ唄い踊りだす、おバカでリオデジャノリの
ブラジル人の女性ヴィヴィと男性マチオを中心に
(ふたりは弁護士と歯医者だというからこれまたクール)
テント内でジェスチャーゲームをしたり
(デス妻で見たことがあったけど、本当にみんな好きなんだ!)
即興寸劇をして、デジカメでムービーを撮ったり。
設定は、あるアラブ人が女を連れてきて、男たちが取り合う(取引はらくだ何頭?で)。
そして女は嫁としてらくだとトレードされて、宴が催されてめでたし、と、だいぶアラビアンな内容。
わたしは女役だったのですが(ちーん)。
男たちに自分をアピールするために
くねくねとアラビアンダンスを踊りながら「I can cook sushi!」というのですが、
一体わたしは何人?
寿司をつくるって…?
映画「カサブランカ」もしのぐ傑作です。





愉快な出会いに恵まれ、
これぞ旅の醍醐味。
戸惑いながら壮大な御手洗を体験し
テントに帰って発したわたしの「No problem!」
という言葉がどういうわけかザゴラメイトの中で大流行。
この旅の鉄板合言葉となり
さいごは「ノープロブレム!」を唱和してサヨナラしたのであります。


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こういう、仲間っぽいの、久しぶり。
たまにはいいなあ。
めぐりあいに感謝です。
気遣ってくれたザゴラメイトの
ブラジル人のアネット。



ふたたび一人、
今日も彷徨ってきます。
by akiha_10 | 2010-01-05 20:49 | Trunk

page t-93      空煩サンド 1

あけましておめでとうございます。
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元旦の夜をひとりドイツで過ごすという我ながら男らしい年明けとなりました。




比較的能天気に過ごしているわたしも、
昨年の秋ころから、
こう、もわっと、薄皮が張ったような突き抜けない気持ちがあったわけです。
本格的にレコーディングに入る前にそれらを祓いたいと思い
そうか、やはり、旅でしょう、ということで一人旅に出たのであります。




マイナス5度のフランクフルトで一泊し、
明けて今日アフリカ大陸初上陸を果たしました。
念願の、モロッコです。

機内から見下ろした景観が、今までにない壮観さで、
ところどころで不思議な幾何学模様を描いているのであります。さながら砂プッチ。
ああ、やっぱり来てよかった。
その高揚を冷静に眺めました。

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モロッコ、、マラケシュに到着。
ゲストハウス。バストイレ共同ですが清潔で快適。
今日は迷路のスーク(市場)を歩きまわって、
おおよその土地勘をつかみました。

こんなことがありました。
スークで迷ってクリーニングやのマダムに道を尋ねると
にこやかに「トラバイユ、トラバイユ、モーメント」というではありませんか。
トラバイユ、が仏語で「仕事」ということはわかっていましたので、なぜ??
と思いつつ言われるがまま待っていたら、子どもがひとり。
その子どもが目的地まで連れて行ってくれて指をすりすり。チップをねだったのです。
ああ、そうか。
道を教えるのは「仕事」。
もちろんこちらも助かったわけですから感謝の気持であげたわけですが、
すこし戸惑いもありました。
お金をあげることに対してではなく、
ここではそれが騙すとか、そういうことではなくて
大人も公認でそれが一つのお小遣い稼ぎとして成立していることに。


このこと含め、
今日一日歩きまわって、スークで値段交渉にも果敢に取り組んで思ったことは(値段はすべて交渉)、
あまり頑なに損得だけにこだわると、淋しい気持ちになるな、ということ。
はじめは機内映画で学習したアナウィンターのごとし、
目をつりあげて「ノン」と連発していたけども。
騙されるつもりはないし、そりゃあ「得」の方が好きだけど、
地元価格にこだわってピリピリとするより、
気持ちいいところで買物もしタクシーも乗りたいなと。
のんびり、きもちよくいこう。
だって、実際地元民じゃない、ツーリストだもの。


と、色々と持参したソバをすすりながら思ったわけですが、
肝心のスークはといいますと、カオスそのものです。
まあ、そのあたりは、また繋がる機会があれば報告を。


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底から湧き上がる眠気に襲われて。
あしたはザゴラ砂漠。
by akiha_10 | 2010-01-03 09:47 | Trunk