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page d-18  お茶癖

頻繁にひとりで「お茶」をしていることに気付いた。a0028990_21502932.jpg
おひとりさまに親切な喫茶店も増えたしね。
お茶そのもの(コーヒー、エスプレッソ、紅茶、中国茶)
も好きだし、そこでボーっとするのが好きなのね。
ひどい時は、友人とお茶して、
自分の最寄駅に着いて、再びひとりお茶をする。
お茶の二次会といったところ。
こういった小金の出費の連続で、
いつの間にか財布が軽くなっているのね。
帰って飲めばいいのにね、
あのリラックスしきらない(家だと寝るでしょ)、
でもボーッとできる空間がいいのね、きっと。

お茶癖の理由のひとつに、母の影響がある。
街に出ると、必ずお茶をする母の行動パターン。
小さいころから刷り込まれているのではないか。
目的の用事の前後に間があると、とりあえず「お茶しよっか」と言う。
今も昔も変わらない。

コーヒーとビールは大人の飲み物だと思っていたころ。
オレンジジュースをすすりながら母を観察する。
時折、買物疲れの溜め息をつきながら、ボーっとどこかの世界に行っている。
ジュースがなくなり、氷に穴を開けようと、
ストローでじゅじゅじゅっと行儀の悪い音をたてると、母の意識は一瞬こっちに戻って来る。
「あきちゃん。」と一言叱って、またどこかへ行ってしまうのだ。

母と同じDNAなのであれば、この時行っている世界はだいたい見当がつく。
コーヒーとビールを飲むようになった今なら分かる。
無意識のところへ行っている。
つまり、なんも考えていないのね。
目を開けて寝るっていうのは、こういうことを言うのかしら??

とすれば、私はかなりの時間寝ていることになります。
よくボーッとします。
しかし困ったことに、そのボーっとした顔がこわいと言われます。
深刻そうな顔をしているらしい。
本人リラックスなんだけだね。
そこで、いかにしてボーっとすればいいかを友人と考えました。
にこやかにボーっとするのは、もっとこわいと言われてNG。
そもそも、うすら笑いをつっくている時点で意識しまくってるもんね。
今までの顔で下をむくのは、なんか陰謀を企てているみたい、でNG。
思いきって視線の先に、請求書らしきものを置いてみるのは、具体的すぎてNG。
結局のはなし、一点を見つめる目線がこわいということなので
サングラス着用はどうか(これもかなり怪しい)、ということになりました。

というかさ、素直に帰って目を閉じて寝ればいいんだけどね。

でもお茶癖はやめられんもんね。
最近は抹茶ラテとチャイがやたら飲みたい。
ボーっとしそうになったらすぐ装着するために…。
サングラスを持ってお茶しよう。
by akiha_10 | 2005-06-30 22:01 | Daily thinking

page m-1  マンスリーパンフィクション  06

昼か夜か。

境目のない2日間は体内時計をくるわせた。a0028990_11474969.jpg
目覚まし時計を手に取って身体を起こす。
血がまわっていないことがすぐに分かった。
よろめきながら鏡の前に座る。
覚悟していたより最悪。
目が半分、顔がむくむくしてる。
化粧をしても無駄な気がする。
ふと一週間前にもらった
コスメのサンプルを思い出した。
夏のブロンズ系のアイシャドウ。
たいして興味はなかったので
そのへんに出したままのはずだ。
散らかった雑誌を足でどかすと、それはあった。
人さし指にすくって、
ベースも塗らずに目蓋においてみる。
知らない私ができてきた。
どんどん知らない人になっていくことは、
心をすこしマシにさせた。
決して楽にはならいが、ほんの少しマシになった。
自分の単純さに救われる。
昨日までのいろんな出来事は、どっかの誰かに起こったこと。
今日はこの常夏きどりの女として生きよう。
女優肌がキーワードの日焼メイクは、
窓の外の様子と、テンションが違いすぎる。
その極端さが、変身させる作業を助けた。



たったの二日間外に出てないだけで、外は随分懐かしい風景だと思った。
バスは動く。道は工事。
低い雲と、はりつくような気候。
三日前と同じだ。
ここまで何も変わらないと私は社会の歯車のほんの一部にもなっていないのかと淋しくなる。
でも、そんなちっぽけな存在に起こったちっぽけな出来事だと思うと妙に安心できた。



渋谷を歩く。この人たち、どこから湧いて出てきてんだ。
じっとりとしたこの季節は、人口超高密度の街を一層憂鬱にさせる。
サヨリが好きなパン屋、VIRONの前を通る。
本場パリジャンも認めるクロワッサンは絶品だという。
パリVIRON社の粉を使っているらしい。
サヨリは豆知識を添えてパン屋を紹介するのが得意だ。
そのおかげで、知らぬまにインプットされていたりする。
サヨリがとびつくクロワッサンで、とりあえず導入の話題はできる。
めずらしく急に呼び出したので、構えて来るかもしれない。
実はね、というまでのせめて5分くらいは
何もなかったかのように振舞いたかった。
クロワッサンをふたつ買う。

待ち合わせまで時間があるので近くのコーヒショップに入る。
そこに居る旨をサヨリにメールする。
手が濡れないように指先で傘を留め、傘袋を引っ張る。
ピアノの音が聞こえてきた。
チェーン展開しているコーヒーショップで、ピアノの生演奏とは驚いた。
プロのピアニストだろうか。
聞いたことのある曲をむりやりメロディアスにして弾いている。
メロディがおぼつかないので、プロではないと判断した。
全く癒されない音は私に優しい。
つまずくメロディは、空気を感傷的にすることを防いだ。

サヨリからの駅到着メールを確認する。
携帯をたたむ音と共に、相変わらずのぎこちないメロディが入ってきた。
ぞくっとした。
あのひとが使っていた着信音のメロディー。
なんかの映画の音楽。
流行歌ではなく、これをずっと使っていることがカッコイイんだと、
格好わるい事を言っていた。
あのひとが電話に出る前に、必ずそれに合わせて鼻歌を歌うから、
「早く出ろよ」といつもつっこんでいた。それだ。
その度に二人は同じ笑い方をする。
くだらなく楽しい、暗黙のお約束だった。

いやだ。ほんとにいやだ。透明な手で耳をふさいだ。
常夏女の仮面がひらりひらりと落ちていくのを感じた。
それは、とても静かであっけない。


「もう死んでもいい」と思う程の幸せの瞬間をくれる人は
「もう死にたい」と思う程の痛みをふっかけてくる。
継続時の不安や嫉妬、そして終わりの苦しみも。
100のプラスをくれる恋は100のマイナスによってゼロになる。
一体なにが残るのだろうか。
最悪な終わりを知っていながら、幸せだった時の思い出を
その時で区切ってアルバムにできるほど大人ではない。
人間的な成長、とかすぐに思えたら、それはたいした事ではなかったという証だ。
嫌悪するほど幼児化していく自分の姿は、それはたいしたものだったという証である。
心身ともにエネルギーを消耗させただけだった。
だんだん腹がたってきた。

耐油紙に入ったクロワッサンをとりだした。
他店で買ったパンを堂々と頬張った。
まわりを気にしない大胆さと、悲しみをかばう虚構の苛立ちがそうさせた。
無心に噛む。
バターの豊かな風味が鼻を抜けるが、体内水不足で口の中はパサパサだった。
デニッデユ生地が口にはりついた。
むりやり喉まで運ぶが、扁桃腺が腫れている時みたいに、呑み込む時に痛い。
食べるのを諦めて、かじったクロワッサンを見た。
こんなに重なりあっても、スキマだらけだ。



どうしようもなく埋められない空洞を互いに知りながら、
それでも綺麗な形を成型し合う。
ふたりして、無駄に思い出とか、折り込みながら。
どちらか一方の、楽しさが虚しさに覆われそうになる時、雲行きが怪しくなる。



傘をたたみながら小走りで店内を見渡すサヨリと目が合った。
パンパンになった目から、また降りだした。



梅雨明けは当分先になりそうだ。
               (fin)




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今月のパン VIRON@渋谷
by akiha_10 | 2005-06-25 00:53 | monthly

page s-14  あまりにも短いレシピ 

混ぜるのも、盛りつけるのも料理と言い張りましょう。
最近のおきにいり。

①アボガどうふa0028990_23355422.jpg

よく熟したアボガド半個と、
豆腐(絹)半丁をつぶしながら混ぜます。
ペーストっぽくしましょう。
美味しいオリーブオイルと岩塩で味付け。
おわり。

クラッカーやグリッシーニにつけて食べるとおいし。
サイコロに切ったクリームチーズを入れると
さらにおいし。



②ごまスプレッドa0028990_23363529.jpg

ねりごま(白) 大さじ3
黒砂糖     おこのみ
醤油      おこのみ

これらをよく混ぜて、おこのみの野菜や、
おこのみのパンに付けて食べます。
おわり。



「おこのみ」とすることで、ごまドレッシング寄りのものから、
ピーナッツバター寄りのものまで人それぞれで楽しめます。
可能性がひろがります。  
いい加減ですね。
そう、あなたのいい、加減で作りましょう。

ちなみに、ウリュウ流は(口が疲れるのでウ流に省略)
甘めのピーナッツバター寄りにつくります。
そして、カボチャなどの温野菜、ブールや黒糖パンなど甘みのあるパンにつけます。
この、和風のごま風味が、なんともパンに合います。
ウ流は、さらにきな粉なんかもまぶしたりしますが、
これでもか、というくらいに香ばしすぎるので、御注意を。
ちょっと、むせるくらいが好きな人にお勧め。


地味だけどね、おいしいのよ。
おわり。
by akiha_10 | 2005-06-17 23:44 | Stomach

page d-17   2005 梅雨どき

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「生もの」

スーパーの特売日に買った
使いきる予定の卵は、
突然のお誘いや外食によって
出番をなくす。

さて、今夜はいりたまごでも、
と行儀良く整列した卵を手に取るが
それは一週間前のタイムリミットをとうに越えている。
うそお。

日々はあまりにも速い。

   感情は生ものよ。
   君と一杯交したいノスタルジーも
   なにかに集中したいモチベーションも
   周りに優しくできる余裕も
   今だけのものかもしれません

   好きも生ものよ。
   追求したい衝動も
   頭の5分の4がそのことで埋まるのも
   しおらしい私も
   今夜限りかもです

だから、腐らないうちにね。
                  (fin)




なんとなく、書き始めて一年が経とうとしています。
たったの一年ですが、ふりかえれば
その時の「生もの」を蘇らせることができます。
人見知りしている文章も、不馴れな雰囲気も、生ものだけどね、
されど一年、書くことにも少し慣れました。ふふふ
もう、こんな感じ方はできないかも。というのもあり、
力は入れずに続けよう、と心新たに思っています。

めっきり見なくなったパンシリーズですが、
マンスリーパンフィクションなんていう形で紹介したいと思います。
不馴れなフィクションも「生もの」の一つとして、試みです。
興味があれば、読んでみてね。
あとは、ちょっと思ったこととか、相変わらず食べ物とか、お買い物とか、旅行とか、映画とかね。
腐って消えちゃう前にね。


いつも読んでくれて、ありがとう。
by akiha_10 | 2005-06-09 22:29 | Daily thinking

page d-16  デパ地下 右往左往

あの味、再び。a0028990_22555815.jpg
NYで食したドーナッツプラントが
デパ地下にはいったらしい。
なかなか白金の路面店に行く機会がないので、
今回NYから御無沙汰ぶり。

食の宝箱の中を右往左往。
広い店内の中、あったよプラント。
あら、なんか、おしゃれね。
あの、職人の匂いがプンプンするNY本店が印象的で。
つくる作業は、ほんとは地味ぃ〜で孤独で、
時にはひたすら単調なのかもね。
最後の最後で華やかになるのかもね。
ルイヴィトンが、もとは荷造り用の木箱職人であったことを思い出す。

キャラメルコーティングやラズベリーコーティングなど、
とってもアメリカンなテイストだけど、
生地はシンプルでモチモチしているから、相変わらずペロリなのです。

しかしデパ地下は本当に楽しいね。でも同時にモヤモヤっとしたりもするのね。
わたしの葛藤が分りやすく出る場所。
ケーキだけでもこんなにあるし、鮮やかなお惣菜も半端ない。
色も綺麗、パケージや包装ももはやデザイン美の域。
選ぶの好き。うっとりするものに囲まれるの、何と言われようが大好き。

だけど、こんなに食「物」が隙間なくあると、
埋め立てられたように感じたりもする。
なんかが下に埋められて、もうすっかり見えないの。感じないの。
さらに、溢れ出たものがどこに行っているのかを考えると、なんだかなーと思う。
決してエコイストとはいえない私が言うのは無責任なんだけどさ。
この時代の、この日本に生まれたのも、なにかの御縁だと思って、
あるうちは楽しんでいいのかなと居直るところが、やっぱりエゴイスト。

度々、葛藤について書いてしまう。
「物とのつきあい方」は、ずっとテーマなのかもしれません。
ちっちゃいうりゅーが、今日も車座になって座談会。
かわいい!ほしいほしい!
本当にいりますか?ずっと使いますか?結局消耗品ですよ?
いーじゃんいーじゃん、衝動買いもいーじゃんか。

プリティウーマンの買い方を夢見ながら、
実際叶ったら、ほんの少し疑問がまじるんだろうな。
そんな自分を右往左往。
めんどくさい性格だな、わたし。
by akiha_10 | 2005-06-04 23:04 | Daily thinking