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page d-45    美しいことと、善いことと

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イングリッシュマフィンを半分にわって、
すこしトースト。
キリのムース状のクリームチーズをたっぶりとのせて、
チャプトリーのいちごジャムを重ねる。
陽がたっぷりとはいる部屋で、
遠くの並木道、枯葉がおちる音が、
聞こえたような気になる、
そう、ハラハラと。
ああ、いいね。
とひとりごち。







たいていこんな場合、
「やってる自分好き」というやつだ。
こうやってるわたし、いい、とか、
こんな自分、いい、とか、ね。
いってしまえば自己陶酔。
逆にもっと陶酔しきってしまえば、
スローだとかロハスだとか、
照れずに言えるんだろうけども。
いまいちどっぷりなれないわたしは、
すこし離れたところで「まじかよ」と
思っていたりもして、
非常にめんどうな性格です。
わたしの女友達にも、
「やってる自分」好きが多く、
先日の女子お泊会でも、
友達と朝からパンケーキを焼いて
「準備がたのしい、準備がたのしいッ」とふたりで
テーブルセッティングなんてのを改めて楽しむ。
女の人は日常のささやかなことで
セルフリラクゼーションを得るのが上手なのではないかと思う。
なんにも起こっていないところで、
心の中では全く想像を越えるドラマが繰り広げられている。
そうか、わたしの友達はみな妄想族だ。
でもね、こういう主観の楽しみ、満足は、だいじよ。
なにが起こっているかなんて、
心のフィルターひとつで決まるもんね。



お迎えを待つ間、
ディプティックのアロマキャンドルを灯して、
ノラジョーンズを小さく流して、
念入りにマスカラを重ねている
わたしを、
あなたは笑うでしょうけど。


















昨日、誕生日でした。
大好きな友達、
彼女からのお祝メールは
「美しいことと、善いことと」
という文でしめくくられていた。
新しい年齢をむかえるにあったって、
意図的になにかを思い出させるように。


思い出したのだ、
ちょうど4年前、
彼女と旅行すがら、機内で読んだ遠藤周作の「砂の城」の中で、
ふたり一致して、衝撃を受けた、
「美しいものと、善いことに絶望しないで」
という台詞。
純粋すぎることは無防備で、
そこにつけこむことも、
まあなんと人間は上手なことでしょう、
弱者になりきれているならまだしも、
さらに悲しい事は、
自分にもある残酷な因子を自覚できてしまうことだ。
被害者の気持も加害者の気持も共感できてしまうと、
一番、人間(自分に)に絶望する。
「信じきって生きていると、傷付くばっかりなんだな」
とちょうどその時、いろいろと疲れ気味だったわたしは、
喉の奥がくーっとなった。
美しいものと善いことを、
ただ100%信じ、また実行できるのだろうか。
シベリア大陸上空でほんの微かだが、
機体を揺らしたのは、
わたしたちのとんでもない胸の震えだったかもしれない。



一体なにが「美しいことと善いこと」なのか、
ふたりで色々考えたりもした。
うーん…うーん…

それぞれの長い沈黙をはさみ、
気付けば機内食をキャッキャッ言いながら写真におさめていた。
浅はかにも、本質の探求も、
目の前の視覚的なものへの興味にはかなわなかった、女子。やむなし。
経験と気付きと、生きてる日数をもうすこし蓄えて、
また続きの話しをしよ?
連絡するね。









昨日新しいアルバム「melodish」が発売されました。
ありがとうございます。
音楽もまた、
一回一回が完結しつつ、形を変えつつ、
継続的に模索するものでもあります。
自分のことはさておき、
楽しんでいただけたら、一番嬉しいです。








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ケーキたべたよ…
うふふ。
とっても美味しい、
パティスリーアンジュのショートケーキ。
ありがと。
by akiha_10 | 2006-12-03 15:19 | Daily thinking
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