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page d-30  2006  梅雨どき

人は、外からの働きにとても敏感。a0028990_10573243.jpg
はじめは抵抗があっても、順応して慣れる。
そんな、柔軟さと、単純さに、わたしはたびたび救われる。


環境、という外からの働き。
絶対無理だと叫んでいた生活スタイルだって、
繰り返せば、慣れてしまう。
たとえば、
朝5時起きに慣れる、スーツに慣れる。
満員電車に慣れる、人と話すことに慣れる。
とし子は、多忙な女、に慣れた。
さよりは、東京暮らしに慣れた。
わたしも、すこしずつ、
文を書くことに慣れる、
人前で唄うことに慣れる。
継続によって、だんだんしっくりくるようになる。




新しいものに慣れるということは、
それまで慣れていた習慣に上書きすることです。
習慣の入れ替えによって、
時に、人が変わったように思うことがあります。
受けいれがたいのは、前はもっと話しやすかったのに?なんていう、
自分にとってネガティブな、あの子の変化。
わたしは、良くも悪くも、絶えず人は変わるものだと思っています。
それだけ、人は外からの働きに敏感で、影響されるからです。



慣れは、楽(ラク)になることでもあります。
ラクは自分に優しく、心地よいので、
馴染んだポジションを得ると、安心して住み着きます。
バアム現象です。
ループに揺られて気持が良いと、当初の抗いも、どこ吹く風。
ループの現実にうまく乗って、今ある日常を楽しんでいるともいえます。
やっぱり違うと思ったら、想いを貫いて、追求するもあり。
なにかを追うも、与えられた環境を味わうも、どっちでもいい。
だから、唄「バアムクーヘン」は、
社会にのまれて、個である意識、本来の目標を捨てるな、
という熱き想いを喚起させるものでもなくって、
食べられちゃったらえへへ、食べられちゃったらやばくね?、
という、どちらもありの八方美人の歌なのです。







衣食住に関する小道具なども、
人を変えたり、その気にさせる、外からの働きといえるでしょう。
こちらの場合は、やむをえない環境の変化ではなく、
自分から仕掛けて変えていく、自発的なものです。
身のまわりのちょっとした演出で、なりたい気分に自分を順応させる。
好きな自分でいようと努めている人は、すきです。


ある友人が出版社でのアルバイトを始めてまもなく、
煙草を吸い始めました。
周りがみんな吸っている様で、きつかったそうです。
ここでは、喫煙の良し悪しが問題ではなくって、
興味深いのは彼女の変化です。
煙草アイテムを日常に取り込むことによって、
彼女は喋り方や仕草が変わっていく、その面白さ。
不思議と、独特な大人の憂い、を放つようになるのです。
この姿への憧れが、喫煙動機のひとつになるのも、
ああ、まったく解らない事はないな、と思いました。
また、タバコを片手に持って集まって話しているほうが、
なぜだか、腹を割っていたり、込み入った話をしているように見える。
けむりマジック。小道具に操作される、人。
セピアな背景を背負い、空間をぼやかすから、
とし子と村上は喫煙者にしたかった。



男友達が100円ライターからジッポに変えた時、
すこしドラマを背負った男の仕草になる。
長めの爪をつけた時に、
カップを持つわたしの指先がフェミニンになる。
いつも行く八百屋のおばちゃんが、久し振りに紅をひいた時、
おばちゃんは上機嫌である。
そういうのって、楽しいです。
こうやって自分を盛り上げて、
いちいち楽しむって、おとくです。
じぶんじぶん、俺最高、の自己演出過剰の一之瀬は、開きなおったナルシスト、
憎いけど、愛おしいのです。



敏感で、単純で、柔軟で、洗脳されやすい、人。
やむをえない外からの働きは、どうしようもないけど、
せめて自分でどうにでもなる部分、選択できる部分は、
イメージを目指して仕込もうと思うのです。
ピースフルでいたいから、できればピースフルな人に会おう。
スナ子でいたいから、旅しつづけて、創りつづけていよう。
やさしくなりたいから、やさしいものに触れよっと。





今しかない味わい、時間は生ものです。
本日中に、召し上がれ。

読んでくれてありがと、
HP3年目に突入。
by akiha_10 | 2006-06-07 11:26 | Daily thinking
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