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a0028990_21193969.jpgベルリンでバスに揺られていると、
車窓がだんだんと変わっていくことに気付いた。
ベルリンの西側を走っているときは、
道路も広く建物も大きかった。
前回のミュンヘンと同じく「工業都市」の印象。
定規で縦横ひいた土地、クリーンでエコな正しい空気。
臨海都市の埋め立て地のような、そぎ落とされた都市デザイン。
それはそれで、美しい。




バスは東に行くほど、カーブした。
道は広かったり狭かったり、入り組む。
あら、小さい道に、けなげなトラムが走ってる!
ああ、安心するなと思った。
この、ととのわない道の具合、トラムのテンポ、
本来の人のリズムと合うよね、とわたしは思う。
脈も呼吸も内臓も、強弱と緩急を持っている。
だから何ごとも、ととのわないのが自然だと思う。
ましてや心や感情なんていうのは山あり谷あり、曲がりくねってるもんね、なんて思っている。


街デザインも国の気質に影響をあたえるのか、
いや、気質が街をつくるのかな、
どちらが先かは知らないが、無関係とは思えない。
アメリカは通りの名前と番号が歴然、
標識も御親切で、チェスボードのように単純。
とっても、わかりやすいアメリカ。
比較すると、パリなんかは入り組んでいて、頑固なまでに不便。
目的地の雑貨屋を探していたら、標識がなくて、変な道に入っちゃって、
でもおや、ここはチーズ屋じゃない?、なんて失敗が転じて発見も。
不便も多いから、はじめっから諦める。期待もしない。メトロは来ない。
諦めるとなんでも楽しくなる。すこしでも順調だと嬉しい。
楽になる。嬉しさとサプライズに溢れる。
もはや目的がなんであったかも忘れる。
道すがらがすべて人生だもの、セラヴィ!みたいなことを素直に言えてしまう。(ダカラ、スキ)
無関係とは思えない、気質と街デザイン。



異なる道を歩んだ東西が、うつしだす風景。
今、まさに交ざって生まれている過渡期??と想像をたくましくさせながら、
ベルリンの東、ミッテで降車する。
小さい道に、雑貨屋や洋服屋、食べ物やさんが、無理なく並んでおります。
相変わらずの雪道につま先歩きなのだけど、
創った人の心がつたわる「モノ」や場所に触れるとテンションがあがります。
といっても、買わなきゃ!、というほど「モノ」も多くないし、「モノ」が近寄ってこない。
人もモノも街も、買いたければどうぞ、というのがいい。
だから、欲望も捏造されない。
なんていうか、ちょうどいい、のだ。
カルチャーの発信、想像のきっかけのツール程度に、「モノ」がある。
ちょうどいい、なんていうバランスは、多分一番贅沢。
不思議な感覚、ミッテ散策中、カワイイと興奮しながら心は穏やかだったのです。
映画「ビフォアサンセット」のセリーヌの言葉を思い出します。
「旅をした共産主義時代のワルシャワでは、
広告もなく買うものもなくて、はじめは退屈だったけど、
次第に物欲が消えて頭が休まって、心が高揚し、次第に心穏やかになり自由を感じた」と。
これは極端な話だれども、全く似た気分。
心の平穏と自由は、与えられすぎない、
というところにヒントがあるのかもしれません。



a0028990_21212189.jpgお腹がすいて入ったのは103 BAR。
デザイン百貨店の本屋さんで見つけた、
「いけてるカフェ100選(推測)」の本のトップに載っていました。
気付くと最寄りの駅まで来ていたので、
どうせだからとミーハーに探したのです。
「いけてる100選」トップ掲載のわりに、
わたしのような、そわそわした者が群れて落ち着かない様子は全然なくて、
むしろ地域に根付いた、のんびり処でした。
リカちゃん系懐かしインテリアも期待通り。
ランチプレートの麺入りミネストローネ(?)を食べていたら、
運ばれているフルーツサラダも美味しそうなので、追加しました。
居心地もいいので、ついつい長居。そして食べ過ぎてウトウト。





帰り道、雪の小道に迷いこんで出会ったアクセサリーのお店も、
レトロでミニマルな空間。橙色がかった壁紙と照明がとくに特徴的。
思い出すのは、やはりあの「グッバイ!レーニン」のお部屋なのです。
たとえばドイツ車に代表されるシンプルで凛々しいデザインとならべると、
レトロだとかノスタルジーだとかは、真逆に位置している気がして面白い。
東西の文化がこれからどう関係していくのか、
どんな道をデザインしていくのか、まだまだ新しいベルリン。
楽しみ。
by akiha_10 | 2006-04-24 00:07 | Trunk
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