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早朝の目覚めに成功し、ドレスデン〜ベルリン間の車窓を堪能。
到着したはいいが、ベルリンの空は不機嫌であった。
足早に流れる人々は、突然のミゾレに眉間のしわを寄せる。
ミゾレって、一番意地悪いと思う。
雨より冷たく、雪より濡らす。


予約していたホテルの地図をひろげるが、あーあ。
斜めのミゾレのせいで、よれよれだよ…インクがじわってなったよ…。ちっ。
20㎏のスーツケースを右手でひっぱり、傘を顎にはさんで、左に地図。
もういっぱいいっぱい、
おまけに路面は凍結していて、スーツケースのコロコロが道路をかんでくれない。
転がらないからしょうがない、うんしょと一瞬あげて、2、3歩歩いておろして休憩。
また歩こうとしたら、滑ってバランスがとれず、とっさにスーツケースにしがみつく。
わたしが転がってどうする。
ああ、日が暮れそう、足、氷るよ…。
タクシーも流れていないため、ぐっと気合いをいれ続けて、
徒歩10分表記のホテルに40分かけて、たどり着く。



吸収しすぎた水で、じゃぶっ、じゃぶっ、と靴は鳴く。
ホテルのカーペットにあがるのも恐縮な想い。
気持、つま先立ちでチェックイン。
横のミラーにうつった自分の姿はあまりに悲惨で、
我ながら、ひどい…とはりついた前髪を耳にかける。
こんな日もあるよね。
部屋に入るなり、力、尽きて、ひと眠り。
起こったコトガ、ボ、ウ、ケ、ン…






むくっと起きる。page t-35    into  Snow   7_a0028990_21411667.jpg
「なんか美味しいのたべたい!」と思い、
訪れたのは自家製コーヒーが自慢の
カフェ、アインシュタイン。
風格ある店内に、一見さんでもだいじょぶかしら…、
とすこしドキドキしていたが、
カジュアルなおひとりさまも気軽に利用されている雰囲気。
カウンターが目の前に見える、スペシャルな席に案内され、
メランジェ(カプチーノ)とサーモンベーグルをおねがいしました。





カウンター内には見事なカプチーノを注ぐ、バリスタの姿。
これもまた職人わざ。
あのひょいってする手つき、いいな、とこっそり真似してみる。
ビールもカプチーノも、要するに、美味しさのキメテは泡の細かさよね。
デザートにアップルシュトゥルーデルという
オーストリア伝統のペストリーも頂きます。
いうならばアップルパイのラザニアスタイル。
あったかくって美味しかった。




ミゾレは継続中。
外を出回る不便さもあって、page t-35    into  Snow   7_a0028990_21421482.jpg訪れたのはStilwerk。
建物まるごとデザインインテリアショップ、
という素敵なデパートです。
50ちかくのお店がはいっていて、
こうも並ぶとまるでデザイン博物館。
もちろん建物自体、感度が高い。
吹き抜けのスペースを真ん中に、
ぐるっと通路に面してお店が並んでいる。
これ、最近のぞいた表参道ヒルズと構造がちょっと似ている。
表参道のほうが、全体の空気感はノスタルジー、
こちらはシンプルモダン。
もしや…と思いましたが、予想は的中。
化粧室もぬかりなく、デザインされていました。









移動には地下鉄をよく利用しましたが、
自動改札がないため、検閲官が度々切符をチェックしにきます。
ぬきうちで、突然、車両の全扉から私服の検閲官が乗ってきて、調べます。
性悪説を前提としているのか、
ピリピリとした、ただならぬ空気を漂わせていたのが独特です。
人がつくった、ある目的のための、「手段」としてのルールやシステムが、
いつの間にか、ルールやシステムの維持、それ自体が「目的」に入れかわっている。
手段と目的はいつも曖昧。
複雑な想いをめぐらせるのです。
by akiha_10 | 2006-04-09 22:43 | Trunk
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