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page m-7  マンスリーパンフィクション  12

「けっきょく、こうなるんですよねー」
『そうそう、いつものパターン』
「宴もたけなわになってくると、それぞれ小宇宙を作って。
結局誰と語りたかったのか、見えてきちゃったりして。器用な人は惑星を行き来したりして」
『で、ここも、おきまり、二人きりの小宇宙』
「そしていつもなぜか端っこだし。
喫煙者はなんとなーく、おいやられてる感ありますよね、街でも宴でも、、、、」

ふぅ。
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『あーあ。少女よ、すこし頬を赤らめて、その視線の先は…』
「え。別になんにもないですよ」
『いや、結構バレてるんだな、これが』
「いやいや、気のせいです。ほんとに。いやね、単純にいつも仕事で一緒にいる人がですよ、こーゆう宴会の席で、飲んだくれて、無邪気に少年になってる感じとか見るの、いーじゃないですか。こうして、遠ーくのテーブルで」
『だから、それは特別だからなんじゃないの?だって編集長の少年の姿は見たくないっしょ?』
「あ。たしかに全然勘弁です」
『ほらね。どこらへんがいいの?そういえば彼が入社した時さ、今の男の人って綺麗って思ったの覚えてる。でも私はPCおとした後にウィンドウにうつる自分見て髪をいじる人とかは、ムリ』
「いや、そんなもんですって、へたしたら今、男の人の方が鏡見てますもん」
『あームリムリ。綺麗にこしたことはないけどさぁ』
「ムリムリ言わないでくださいよーそういう時代なんです」
『時代…。なんかさ、男も女も歩み寄ってて、
中性的なんだよねー男らしさとか女らしさとか、もう死語なのかもね』
「めずらしく真面目ですねーわたしたち」
『ま。時代、とか言っちゃってる時点で村上もいっちょまえのオトコンナだね』
「なんですか、オトコンナ!?」
『おとこおんなだよ』
「嫌ですよ、なんかそれ!」
『嫌でもそうなの、村上さん。パン特集がそこそこ評判で一息ついたのに、次の日また企画書持って来てるのとかを見てると、きみもオトコンナ!て思う。なんていうか、仕事をそこそこ真剣にやってる人は、そん時はオトコンナの顔になってるのよ』
「いやだあー」
『そうは言ってもオトコンナ。でもピュアオンナでもあるし、ワイフオンナにもママオンナにもなれる可能性があるから、常に迷うわけよ。選択肢が多いと迷うのよ。でもだから楽しいんちゃうん』
「すごい前向きですね、って、目は後ろ向きですけど…方言出て来たところで、もうお酒やめたほうがいいです、のサインだと思いますが…」
『だいじょぶ!あの遠ーくで少年してるやつに送ってもらう!』
「もーう、あんまりつかわないでくださいよー、いっつもじゃないすかー」
『そうでした、反省してます…あ、今の言い方、自分の所有物みたい。ぷぷぷ』



『あ、靴入れの板わすれた』
「ほらぁ、酔ってるじゃないすか!」
『だーじょぶだーじょぶ』



「さっぶ!いつものように次あそこ行きます?ホットチョコレート始めたらしいですよ」
『あーごめん、次行くとこあるんだな』
「イミシン…え、なんですか。聞いてないですけど!」
『オトコンナ同士でつるむばっかはよくないね。村上は二次会に行って、少年を眺めていなさいな』
「そんな、つめたい!」
『切りかえ速いのもオトコンナよ。てなわけで、さらばっ』
「ああ、そうだトシコさん!これ持って帰って下さい!」
『え、なんで、パン?』
「いや、ここ来る前つい寄っちゃいました、で、いつものように買い過ぎてしまい。
見て下さい、穀物ぎっしりです。」
『はあ…なんかいろいろ無理矢理だけど、まあもらっとくわ、さらばーよいお年をー』



「(って、明日も会うけど…
どれだけ小宇宙を共に作れる人がいても結局ひとりよね
ああ星がよく見えるな、
DVDでも借りよっかな、
果てしなく、さぶい。)」
                        <fin>
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今月のパン
ブーランジェリーナイーフ@中目黒
by akiha_10 | 2005-12-19 17:56 | monthly
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