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ニューヨークジャーナル 155

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ダウンタウンを歩いていて偶然バーレスクを見つけた。
「DUANE PARK」


バーレスクとは一言で言えばお色気コメディーショー。アメリカでは20年代頃から流行したからか、ジャズ生演奏にくわえ、ダンサーの華美な衣装や全体の雰囲気がジャズ・エイジを醸していて、ちょっとしたギャッツビー感を味わえる。歌あり、ストリップあり、ゲスト参加イベントありでとっても盛り上がります。

ダンサーたちは華麗に踊りながら最終的には下着を残して(バストはニップレスなるフリンジ?を残して)脱いでしまうのですが、全体に漂う滑稽感、サーカスのような幻想感が先行し、いやらしさは感じさせない。食事をしながらのショーなので、それなりに清々しくないと困ってしまうが。とはいえ、少しずつ少しずつ布をはぎ取って行くプロセスや、脱ぎそうで脱がない’じらし’のパフォーマンスにはいちいち観客が(特に男性が)リアクションしている姿がまた面白く、全部脱ぎ終わった時のこの「やったー!」的大喝采は一体なんだろうなぁ、と一緒になって美しいヌードを拝ませていただきました。

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二部になるとお色気のみならず、火を巧みに操ったり、見事なフラフープを披露してくれたりで、彼女たちは実はセクシー芸達者さん達だった。素人である来場者の何人かが舞台に立たされて30秒感のセクシーアピールを強要されるコーナー。誰が一番セクシーだったかを争うのですが、そのむちゃぶりにも関わらず、誰もが時に笑いを交えならやってのけるアメリカ人のエンターテイナー魂には心底感心。





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バンドのすぐそば!!







同じくセクシーエンターテイメントでいうと以前、ジェントルマンズクラブ(ストリップクラブ)にも連れて行ってもらったことがある。感想はというと、「さあどうよ」と見せられるお色気はあまりにも健康的だということ(ま、同性だからかな)。男女7,8人で行ったのだが「男達がするとリアルだから(たしかに)」と言って、ご紳士方のチップをもとになぜか女性陣がラップダンスをしてもらうという謎の体験を。陶器のような肌を持った美しいロシア人のお姉さん(年下だけど)がくねりくねりと、わたしの膝の上で踊ってくださいました。同性の場合はスキンシップ?もよいらしく、お姉さん自らわたしの手を身体に導くもんだから、吸い付くような肌のやわらかさに「わあ、女性ってきもちい!」と単純に感動しながらも、なんだかとっても照れてしまった。NYに住んでいる者としては、なんにも目覚めなかったのはちょっと残念だけど。





まだ早い時間で人も少なかったためか、しばらくお姉さんも一緒に座って談笑することになった。プロとして働きがらもさらにレベルアップするために、時に怪我をしながらも週に何度もポールダンス教室に通っていること聞いて、わたしが興味本位でトライしたカクカクしたへっぽこポールダンスのことについて話す余地はまったくなかった。「なぜストリッパーをやっているか」という話になって「だって若い今しかできないことでしょ、人生色々経験しなくちゃ」と毅然とした態度で答えていて、その表情は踊っている時より美しかった。






来る前からそのイメージはあったが、想像以上にこの国(NYは増して)はセクシュアルな事に開放的だと思う。タブーで秘めているからこそのセクシーが、タブーを取り払うことであまりにも普通になってしまうほどに。広告の多くがなにかしらセンシュアルなことを誘起させるものだし、多くの歌詞の内容が、今晩誰をひっかけただとかなんとかで、ダーティーな言葉満載。友人間の普段の会話もしかり。男女関係なく、あまりにも気軽に「え?」という単語を会話に出す。始めは、これはひょっとしてわたしが属する友達間がそうなのかと思ったが、程度の差こそあれどこに属してもそうだから、きっとこれがスタンダードのだろう。あまりにも映画や音楽で気軽に使われ過ぎていて、タブーもへったくれもない、という感覚なのだろう。街の女性の多くが体型や年齢に関係なく、胸元が大きく空いたピチっとしたシャツを着ているし、夏であれば水着同然の姿も見かける。バーレスクやジェントルマンズクラブと同じく「さあどうよ」という女性達に囲まれているこの国の男性たちは、セクシュアルなことに日常的に浸り過ぎていて麻痺しないのだろうかと、単純に疑問に思ったりもするのであった。





そういえば、街を歩きながらそのショーウィンドーがセクシーすぎてギョっとしたものに「Agent Provocateur」がある。なんといってもネーミングのセンスが抜群(Agent Provocateur:おとり捜査官)。あまりにも刺激的なランジェリーショップである。ウィンドー前に立ち止まってよくよく見ると、ファッション的な観点からも興味深い。そのひとつひとつのピースはとても凝っていてまるでアートのようなデザイン、見るからに質がいい。一度気になると好奇心を抑えきれないわたしは、えいっと入店してAgent体験をしてみる。まず、店員さんが相当なまめかしい。実験室で着るようなピンクの研究着のようなものを、胸の半分あたりまでボタンを空けて着ている。そのお堅そうな研究員(捜査官?)風作業着からチラ見せしているのはもちろん当ショップのランジェリー。


入店してみると、ウィンドーにあるようなハードなものだけでなく、可愛らしいものやシンプルなものもある。しかしいずれにしても精巧なものばかり。ああー!見ているだけでうっとり。わたしは下着というよりレースそのものやデザインが好きなので見入ってしまうが、下着好きの方は間違いなく好きだと思う。そして空間も妖艶そのもの。試着室には赤い絨毯が敷かれており、劇場のようなカーテンで観音開きになっていたり、薄明かりにシャンデリアがぼわっと浮いていたり。「ちょっと試してみる?」とその研究員スタッフから耳元で囁かれた時にはディビット・リンチの映画「Blue Velvet」の中にいるかと思った。見かけは激しいお姉さまも、実はとてもやさしく、試着しきれないほどのものを持って来てくれた。一枚300ドル以上(やっぱり)するので、飛び込みで買えるものではなかったけれど、下着界のリュクスを学ぶことができた。わたしの目をとらえて離さなかった、あまりにも素敵すぎるヴィンテージレースシリーズはショーツ一枚で600ドルとかなんとかでフレームに飾られていた。それはもう実用性などをとっくに越えて、下着以上のものであった。


帰って調べて激しく納得。ここは英ファッションデザイナーであるヴィヴィアン・ウェストウッドの息子さんが立ち上げたイギリスブランドなんですね!このヴィクトリアン調、デザインやレースの繊細さはアメリカではないと思っていたけど。細部のセンスや生地のこだわり方も、「さあどうよ」ではなく研究員風スタッフという想像力をたくましくさせる一手間かけた演出も、奥行きのあるネーミングも、なるほどヨーロッパである。
by akiha_10 | 2013-06-23 23:25 | NY Journal
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