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ニューヨークジャーナル 154

今、ホームページをリニューアルしようとしている。せっかくだからホームページ用に新しい写真を撮ってもらおうと思い立った。どうせならNYで活躍するフォトグラファーがいい。メイクアップアーティストの友達、チチに紹介してもらったロブ。彼はファッションフォトグラファーで、アメリカで人気雑誌のコスモポリタンやエルマガジンで活躍している。


彼が快く引き受けてくれて、ブルックリン、ウィリアムズバーグの橋の下にある彼の小さなスタジオをたずねた。わたしは普段あまりメイクをがっちりするタイプではないので、自前のメイクでもいいかと迷ったが、スタジオの照明が強くて負けてしまうかと思い、友達であるチチにメイクもお願いした。彼女とロブは長年一緒に仕事をしているらしく、息もぴったりに作業が進む。


「ナチュラルな感じで」とお願いした割には、モード業界仕込みの彼女のスゴ技で顔がどんどん立体的になっていくような…。強い照明にはこれくらいのほうがいいのかな〜なんて思いながら撮影を終えた。


そして数日後、撮った写真の中でロブが一枚ピックアップして送って来た。「これなんてとっても魅力的だよ」と推薦されたファイルを開いてわたしは思わず笑ってしまった。



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だっ、だれだコレ!?

なるほど〜。やっぱりNYセンスで撮るとこうなるんだね〜。そして、やっぱりこういうのが好きなんだね〜。欧米で好まれそうなアジア人女性のイメージ。浮き彫りになる、女性の魅力に関する日米間の違い。日本であれば、自然体や親しみやすさ、かわいらしさ(時に幼さ)が魅力となることが多いけれど、こちらで求められる魅力的な女性像は、あくまで「タフでセクシーな女」。







「これってどうなの?」と訝し気にアメリカ人の友達に見せると、評判は上々。「リアリティと違うでしょ?」と自分の顔周りをぐるっと空中で指で描いて言ったが、「女性の写真はprovocative(挑発的)でないと!」とNYらしいコメント。自分を表現する際、アメリカに謙虚さや等親大といったような概念はない。たいして能力がなくても、できると言ってしまうし、ない自信もあると思い込むし、いかに自分はすばらしいかを盛りに盛ってアピールしてもしきれないくらいなのだ。押し出しは強いくらいでちょうどいいらしい。謙虚さを察知できるようなセンシビリティはなく、引いたら誰も気にも留めない、そういう場所だ。


早速家族と日本のごく親しい友達に画像を送ってみたところ、皆そろって爆笑、「こわい」と軒並み不評。中国にいる姉にいたっては、姉がエンターテイメントとして撮ってもらった中国王族写真館?(中国伝統衣装を着てお姫様風ばっちりメイクで撮ってもらえる撮影アクティビティ)の写真みたい、とお腹を抱えて笑っていた。ちょっと。NYのトップアーティストの作品ですよ!こうして身内では、すっかりネタとして親しまれている。





白状しよう。
「ナチュラルでスマイリーな感じでね」とはじめはリクエストしたものの、撮影中のロブの誘導によって、だんだんとアメリカナイズ魂が引き出されていった。日本でも写真撮影中、カメラマンが「かわいい!」とか「今の綺麗!」などと言ってその気にさせてくれるのだが、英語となるとそのアクションの大きさも相まって、テンション高め。

シャッターの音とたかれるフラッシュと共に「びゅーてぃふぉっ!!」とよいしょのシャワー、ちょっといい目線を送ったりすると「ごーじゃすっ!」に変わり「すたにんっ!!」と大袈裟に持ち上げられて、アドレナリンが迸る。もう風なんか当てられちゃった時には、完全に調子に乗ってしまい、わたしは大変気持よく瞬くフラッシュの中を泳がさせていただいた。それでこの顔。


半分以上はこういったムードによるものではあるけれど、ひとりで始めた海外生活で気付かないうちに、望まずとも実際にタフになっている部分もあるのかなぁ、と数パーセントの真実の姿の在処をこの押し出しの強い写真を見て問う。



ちなみに、ロブが撮影で持ち上げてくれたような称讃は、相手を褒め合うNYの街中でよく聞こえてくる。女性賛美の形容ついて、個人的な格付けはカジュアルなものにPrettyやCute、Niceがあり、その上にBeautifulやSexy、さらにその上にGorgeous(ビューティフルとセクシー、そこに品や華やかさが加わるイメージ)がある。もう神々しくて目眩がしそうな美しさを称讃する時にはStunning(なんといったってstunningは「気絶」という意味だ)。日本語でなかなか言い得ない。英語が情熱的なラテン語が起源である事を感じさせる語彙=概念だ。



NYでは昼間ジャージ同然の恰好で歩いている女性も多いが、夜それなりのレストランやバーに行く時の気合いの入り方は日本のそれ以上。またそれに応えてくれる街の声があるから、女性達はお洒落が一層楽しい。そうえいば、これはとても意外だったのだが、アメリカ人女性の多くはボーイフレンドや夫好みのもの、男性が好きなもの、喜ぶものを身につけるようにしているのだそうだ。同性や自分のためのお洒落ではなく、異性のため(異性を惹くため?)のお洒落。「これ、彼(夫)が好きそうだから」と洋服やアクセサリーを選んで身につける、タフでインディペンデントな米女性にしては、なかなかしおらしい。これもひとえに、必ずと言っていいほど「今日も素敵だね」や「その服新しいね」と見た目に関してまず声を掛けてくれる(掛けなければならない?)相手の目線や称讃があるからだと思う。








ロブご推薦の一枚はクロワさんと並ぶ想像がつかないので、その後、他の数枚も見せてほしい、とリクエストした。このばっちりメイクで愉快に笑っているものも、どうにも不自然だったりして、発見多きNY写真撮影。出会いに感謝です。ありがとう、ロブとチチ!そしてリニューアルをおたのしみに!
by akiha_10 | 2013-06-20 09:50 | NY Journal
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