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マイアミにて、ギャビーと旦那様スタンのウェディング。
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前回ギャビーとNYで会った時「スタンがユダヤ教に改宗してくれるって言って…」と大きな瞳に涙を浮かべながら話してくれた。八百万の神派(すなわち無宗教)が多い日本ではあまり馴染みがないけれど、アメリカでは結婚相手の宗派が違う時、そのままお互い違う宗派を持ち続けることもあれば、スタンのように自分の信仰を捨て、相手の宗派に変えることもある。この「改宗」がまるで愛のバロメーターのひとつのように語られることも多い。「そこまでして」という、まるで相手への愛の深さの指標のように聴こえるからだ。自分の信仰を支持し共に歩んで行きたいというパートナーからの理解と覚悟めいたものにギャビーは感激し、言葉をつまらせていた。ユダヤ教への改宗は、ラビ(カトリックでいうところの神父様)と共にユダヤ教について学習し、テストに合格をする必要があるのだとか。熱心な取り組みが必要とのこと。





デート相手やパートナーを探す際お互いに一般的な条件をマッチさせるにも大変なのに、さらに大きな「宗教」というものが関わってくるというのは、マッチングの難易度をかなりあげそうだ。加えて移民だらけのアメリカでは、付き合いが真剣になってくると、相手がどこの出身(これは福岡だとか北海道出身という規模ではなく世界のどこの出身かということ)なのか、またアメリカ人の大半であるドメスティックで保守的な思考の方だと(NYの国際感覚はアメリカのそれとは言えない)デート相手の条件としてCitizen(アメリカ市民)であるかどうかを、毎回こだわって聞いてくるという母親を持つ女性も多いのだとか。


わたしもここでは外国人なのでよく分かるが、アメリカには、移民がどんな立場で存在しているのかというステイタスのヒエラルキーが幾重にも重なって存在していて、アメリカで人として認めてもらうには長い道のりがある。ビザや権利、住む事に関して苦労をさせたくない母親達はつい、デート相手がたとえアメリカ人でなくとも、アメリカ市民(グリーンカードを持って5年経つと市民権が得られる)なのかを聞くのだそう。


他にも、デート相手に求めることとして、熱狂的ベースボールファンの多いアメリカでは、同じ野球チームを応援しているかが大前提条件という人もいる。「彼ってすっごく素敵でね、申し分ないんだけど、、、、レッドソックスファンとか、もうっ、まじ有り得ない!そのセンスが彼のすべてを物語ってるっ!」とまで言い放ちデートを断ったヤンキース狂の女友達が身近にいる。阪神ファンの方でそういう話を聞いたこともあるね。クレイジーに聞こえるけど、自分のこだわりポイントに置き換えるとすんなり納得だ。


式場はギャビーとスタンの住むマンションの屋外共有スペース。すべてデザイナーの友達とセッティングし、什器やお食事はケータリング業者を手配、というあったかい手作り結婚式!


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仲良しのコーリ、マイアミが似合うおんな。
レセプションで振る舞われるドリンクは「ふたりがパーティーで出会って初めて一緒に飲んだ」モヒート。
どこをどうとってもおサレ。ふたりの兄弟と共にヴァージンロードを歩くギャビー!お人形さんみたい!ユダヤ式の結婚式では、男性ゲストは皆、宗教に関係なくキッパ(お皿のようなおぼうし)着用だそうです。「ユダヤ式」ラビによって進行するお式はヘブライ語で行われるため、まったくチンプンカンプンですが、度々出てくるまじないのような唄が驚くことに、お経の響きににている。ひょっとしたら、神に通ずる言霊のようなものは、宗派に関わらず音の周波数や帯域が似ているのではないか、とスピリチュアルなことをずっと考えていた。お決まりの宣誓で「誓いますか?」に対し、「Yes, I do(はい、誓います)」の代わりに「Absolutely!(もっちろん!)」と弾む声で宣言したギャビーがとてもチャーミングだった。





さて、アメリカの結婚式で女性はなにを着ているの?

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やはりほとんどの方がドレス(ワンピース)です。パーティー文化が日常的に根付いてるからか、女性はドレスを着ることに慣れていて、また見慣れているからか、結婚式だからといって日本のお式で漂う特別感は薄いように感じました。バカンス風のリラックスした装いの方もいれば、サタデーナイトのクラビングのようなセクシーな出立ちの方も多いです。

日本では日常的にパーティー風のおめかしをする機会が少ないので、結婚式となるとここぞとばかりに、一日集中であれこれ工夫したり盛ってみたり、という愉しみ方がありますよね。だからなんとも言えぬぎこちない七五三感に遭遇する事も多いのですが、間違いなく日本の結婚式ゲストのほうが気合いが入っていますよ。


ただ、これはなにも海外比較などではなく、日本にいる時からずっと思っている疑問なのですが、なぜこんなにすばらしいセンスを持った日本人女性の多くが結婚式のおよばれとなると、わたしもふくめ、なんだかやぼったくなるのだろう、ということ。盛れば盛る程コスチュームになる。そしてショップには「結婚式用」とうたった過度にフリフリキラキラがついた服が多すぎる。ドレスをさらっと着るということのお手本を日常的に見られないのは仕方のないところ。張り切らないくらいがいい。もし張り切るならば、一日のためのデコラティブなドレスを探すことよりも、日常的な健康維持や精神面から来る肌の艶などに関してであって、ドレスはクリスマスツリーの上に最後にのっける星のようなものだと思う。「そもそもドレスは西洋のものですよ」なんて絶望的なお達しがチラりと脳裏をよぎるが、着こなしやその立ち方次第だ。確かに多くの日本人女性はお着物をきちっと着た瞬間に、年齢に関係なく、わお!というほど洗練されるんですよね、やっぱり。

それなりに華やかな洋服を着る際、アメリカ人特有の「厚かましい自信」が見えないコルセットになっているのでしょうね。体型や外見はまったく関係なく、みな一様に謎の自信を持っている彼女たち。だから姿勢がしゃんと伸びて、かっこよく見える。ただでさえ、ドレスを着こなすには謙虚な日本人、さらに普段着慣れていないものを身につけるとなると、やはりおどおどした空気が出てしまいます。おそらくドレスを着るにしても、シンプルにして姿勢を正すだけで、随分美しくなると思う。その点、お着物という服の特質は、日本人の謙虚さや奥ゆかしさの内面と自然とマッチしており、オリジナルの美しさを引き立ててくれ、違和感なく素敵に見えるのでしょう。わたしも油断するとすぐ姿勢が悪くなるので、せめてしゃきっとしようと心がけています。




しかしセンスやベクトルはともかく、日本人女性のお洒落魂を誇りに思っています。NYの地下鉄で日本人女性を見る度「お洒落だなぁ」と感心します。「お洒落」と連呼していくうちに、だんだんと「お洒落」の定義を問いたくなってくるのですが、日本の場合、着飾る気力と清潔感のことでしょうか。余裕がある。そして全部の持ち物が単純に綺麗(ヨレっとしていない)です。NYにいる、お洒落で小綺麗な人は観光をしている「日本人」。長く滞在していると、人が自然とこぎたなくなっていくようにできている危険な街、ぬーよーく。



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さんざん言っておきながら、
じゃらじゃら貴金属、
ザ・「盛り」。




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つづく
by akiha_10 | 2013-03-09 06:10 | Trunk
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