<< ニューヨークジャーナル 122 page t-162  ... >>

ニューヨークジャーナル 121

また奇跡!
a0028990_3582085.jpg

先日、とても興味深いアーティスティックなアクセサリーを取り扱っているブティックで、自然界や宇宙を表現したかのような大ぶりのアイテムたちに魅了された。イタリアのデザイナーらしい。オーナーに色々と質問をしていると話が弾んで映画や音楽の話にまで及び、話は尽きる様子がなかったので、もう閉店時ということもあって隣のワインバーにうつって一杯だけ飲むことになった。日本ではなかなかないノリですが、道を歩いているだけで友達ができるNYではこういうことは結構ある。オーナーはその昔ソフィアコッポラとデートをしていたらしく、NYにありがちな誇張かと半分聞き流しながらも、40代前半にして今まで3人奥様がいたということや世界中に家があるという振れ幅の大きいワイルドな彼の歴史を聞いていると、ないこともないのかな、と感じた。

彼の話も相当エキサイティングだっだが、なんとなく行ったそのバーで、化粧室に行った二度とも同じタイミングでドアの前で顔を合わせた方がいた。「ああ、またお会いましたね」と小説のような台詞がまさにふさわしかった。二回目、順を待つ間NYの好きなバーはどこかという話になった。すると相当数あるバーの中で、なんと互いのベスト3中のふたつが一致していて、トイレ待ちが予期せぬ楽しいものになった。そうして好みが一緒なものだから、「いいバーを発掘したら教えあおう」とバー友達になった。



そんなことも忘れかけていたころ、そのバー友達が週末の昼時ふらっと連絡してくれて「友達がボートを出すから一緒に来る?」と誘ってくれた。その日は人間が一番心地よいと感じるのではないかと思う気温と湿度のベストバランスで、夕暮れのボートクルーズなんてきもちいいだろうな、とそんなくらいの気分で参加した。

a0028990_3592424.jpg

行ってみるとボートが予想以上の規模(三階建て、バスルーム付寝室が船内に3つも!動く城だね。)だったことにもわお!でしたが、それ以前に驚いたのが、バー友達がハドソン川沿いの港に行くまでのタクシーで「親友もピックアップするから」といったその親友が、以前そのファンぶりを綴ったことのある(ジャーナル92)、大好きなJay Kosだったのです!

「ジェイ・コスって言うんだけど」とタクシーで事前に名前を紹介された時は耳を疑って、「え、あのジェイ・コス??ソーホーに店があるジェイ・コス?」と聞き返した。紳士物しか置いていないのによく知ってるね、と感心されたのですが、その空間や色使いやファブリック選びのセンスやこだわりになにかぐっと惹き付けられるものがあり、個人的に「洗練の館」と名付けてお慕いしてよく覗いているもの!彼のレシピ見てるもの!


お店で単なるお客さんとしてジェイとお話(質問?)をしたことはあったけれども、個人的にお知り合いになれるなんて、わたしにとってはすごい奇跡なのです。本当に大好きだったから。心酔して本当に好きなものにはいつか必ず辿り着く。打算や損得勘定ではなく、好きの純度が濃いと、すべてのパワーが味方をしてくれることが実感としてわかった。たまたま入ったブティックのオーナーと寄ったバー、そのバーのお手洗いで偶然あった方を通じてここに来るとは!この引きの強さは、わたしの一番の才能です。非科学的な力が働いているようにさえ感じる。だから、このひとつひとつの繋がりに人一倍感謝して、人生に起こる不思議や歓びを形にしないとね。どんな客観的作用が働こうとも、それでも「人生っていいね」と心底思って体現しよう。
a0028990_47878.jpg


ジェイといろいろなお話をすることができて感激した。わたしはてっきりJayKosのお店は彼が世界中から美しいものをセレクトしているお店だと思っていたのだが、全て自身でデザインしているらしい、彼は正真正銘デザイナーであった。ここ数年のインスピレーションはモロッコ、マラケシュのスークからだそう。思わず笑ってしまったが、自身のアルバム、マラケシュからインスパイアされた「In the Souk」もちょろりと宣伝しておいた。スークから閃いた鮮やかな色使いや、土っぽさ、カオスな文化、独特なにおい。直近のマラケシュ旅行は長男ジャック(8歳)との男二人旅だったらしい。わたしもマラケシュひとり旅をして感銘を受けたという事を話すと、ジャックが嬉しそうにしきりに「どこのリヤド(宿泊地)に泊まったのか、あの広場のカフェのチキンサンドはすばらしいよね、毎日食べたよ」と積極的に話してくれた。

a0028990_42276.jpg
デザイナーの父を持ち、華やかな場所に同行する機会が多いジャックはすでに大人の喋り方をする。ミートパッッキングにある寿司MORIMOTOの常連客だというジャック8歳、「特にハマチとカンパチが最高だ」と感想を述べる。最近のファッションウィークについては、彼のお姉ちゃんである長女のソフィーちゃん(10歳)がすでにレギンスのデザイナーとして活躍しているらしくVOGUEのパーティーにおよばれしたらしい。来場者のほとんどが、それがここぞという時のお洒落だと思い込んでいる「タイトなワンピ、シャネルマトラッセにルブタン」は型押しされたユニフォームのようで「あんなのファッションじゃない、全く楽しくない」とばっさり。とってもおませさんなのだが、不思議と生意気な感じがしない。本当に大人と喋っているかのように思うほど、鋭い視点や独自の見解があってものすごく賢い。アメリカ大統領選から日本の政治のことまで知っていた。この男は将来女を泣かせるな。「ジャック、わたしも将来ガールフレンド候補にしてよ(どんだけ年の差だよ)」と冗談で言った時だけ8歳らしい照れ方をして妙に安心した。


a0028990_454391.jpg
次男ルーカス(3歳)はもうすでにガールフレンドが3人いるらしく、「困った問題を抱えてるんだ、聞いてくれるかい?」と両肩をあげて言うもんだから船上で彼の人生相談にのることにした。極度の人見知りらしいルーカスがなつくのはいい兆候(なんの?)らしく、最後はネックレスを交換して、どうやらわたしはルーカスの4人めのガールフレンドに認定されたらしい。(年齢的には母の立ち位置でいいくらいなんだけどな、はは)
ふたりの笑顔を見ていると、とてもいい環境で育っているんだなぁ、と感じる。ジェイはクールで自由でパーソナリティーも素敵、なおかつ家庭円満で、こういう方って本当にいるんだなぁとお店だけでなく、ますます本人のファンになってしまった。a0028990_4382074.jpg





ジェイとボーイズ。










a0028990_4135539.jpg
ちなみにこのボートはマニエラというブラジル人女性(中央黒髪の女性)が所有していて、旦那様からのプレゼントらしい(そんな世界があるんだねぇ)。マニエラは美人かつ気さくで自然体。世界中のあらゆるタイプのお金持ちさんを垣間みることのできるNYですが、真に幸せで豊かな人は、スノビッシュな気配はなくまったくギラギラしていないものなんだなぁ、と感じます。




a0028990_4876.jpg流暢な日本語で話しかけてくださった、ちょいワル風を吹かせたブラジル人のご紳士(わたしの左隣)。彼は外交官で、今まで20カ国ほど住んだことがあり6カ国語話せるのだそう。二年間日本の大学に通ったらしい。そのきらびやかなキャリアを拝聴し、英語すら決してペラリーノとは言えないわたしはあったらいいけどなくてもいい薬味の気分だ。どこの国が一番好きだったかと尋ねると「どこもそれぞれ素敵だったよ」と髪をなびかせながらこれまた優等生の回答で、ちっともワルくない。出来杉くんめ。話を御伺いしているだけで旅気分、「歩く車窓から」だ。ボーダレスな方々とお話できるのも、NYの醍醐味。



その日は大変面白く、それまでに至る糸の辿り道を思い返しては、ああ人生って不思議としみじみ。
素敵な経験をさせていただきありがとうございました。
帰宅して、揖保乃糸を鍋に泳がせながら今日の会話を反芻した。薬味のみょうがも添えておいた。







「震えるほどのキセキもあるかも」
Endless storyという曲の中でこのフレーズを書いた時の、ものすごい緊張感と責任感を覚えています。ここまでのドキドキ感は後にも先にもない。まるで予言書を綴るかのように。フル歌詞を書きあげた乱雑な直筆のノートの上で、そこだけ何十にも丸をしてとても迷った。そんなに人生に、自身に、期待していいものだろうか。今より5段階くらい陰の要素が強かったわたしは、迷いに迷った。でも、思うだけで、そう唄うだけで、楽しい気分になるから踏み切った。今は唄っていてわたしがもっとも素になれる、大好きなパートだ。


そう思ったほうが毎日たのしい。そして思っていたら、起こってしまうんだね。


a0028990_492627.jpg

by akiha_10 | 2012-09-22 05:03 | NY Journal
<< ニューヨークジャーナル 122 page t-162  ... >>